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南野を左ウイングで使う日本代表監督。「0トップ」で使うリバプール監督

杉山茂樹スポーツライター
(写真:岸本勉/PICSPORT)

 チャンピオンズリーグ(CL)第5週。日本代表で10番を背負いながら、ここ数試合、途中交代で早々とベンチに下がる機会が続く南野拓実は、このポルトとのホーム戦に先発出場を飾った。すでに首位通過を決めていているリバプールにとって、この試合は消化試合同然の一戦ながら、出場機会に恵まれない南野には、自己アピールの場として大きな意味を持つ試合となっていた。

 ポジションは、モハメド・サラー(右)、サデォ・マネ(左)を両翼に従えた4-3-3のセンターフォワード(CF)。しかも0トップ型だ。南野の適性に最もマッチしたポジションだと筆者は考えるが、南野のためにわざわざそのような仕様にしたわけではない。先発にディオゴ・ジョッタを据えても、ロベルト・フィルミーノを据えても、ユルゲン・クロップ監督は0トップ型を布く。4-3-3の1トップにCFらしいCFではなく、9番と10番の間のような選手を置くことを好む監督だ。

 南野は後半なかば、戦術的交代によって玉突きのごとく右ウイングにポジションを移動した。そしてそのまま、勝利を告げるタイムアップの笛をピッチの上で聞いた。フルタイム出場を果たしたわけだが、今後に繋がる活躍ができたかと言えば、疑問符がつく。0トップでは無難にプレーできたが、右ウイングにポジションを移してからは、有効な絡みができなくなった。最後までピッチに立つことができたのは、活躍したからというより、サラーやマネを休ませたかったからと考える方が自然だ。これを機にクロップ監督の中で南野の株が急上昇するかと言えば難しいだろう。

 ところが、このポルト戦の南野は、日本代表目線で見るとポジティブに見える。森保ジャパンでは4-3-「3」、4-2-「3」-1ともに「3」の左でプレーする南野だが、ポジションの適性はそこにない。先のオマーン戦(11月16日・オマーン)では、後半頭から左ウイングの位置に入った三笘薫が、伊東純也の決勝点をアシスト。戦術的交代でインサイドハーフへ移動し、そこで活躍できぬまま後半17分、ベンチに退いた南野は次戦、どのポジションでプレーすればいいのか、森保監督は頭を痛めているに違いない。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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