不振に喘いでいたレイカーズが挙げた価値ある22勝目
現地時間の17日、クリプトドットコム・アリーナに詰めかけた観客は、ロスアンジェルス・レイカーズの勝利に酔いしれた。西地区7位が、同4位で昨年度のレギュラーシーズンで首位を走ったユタ・ジャズに、95-101で快勝したのだ。この白星でレイカーズは連敗を3で止めた。
このところ攻守がちぐはぐで、不振が続いていたレイカーズを危ぶむ声も多かった。
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20211230-00275004
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20220112-00270757
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20220118-00277725
が、見応えのあるゲームでファンの期待に応えた。
TipOff前にレイカーズの面々がウォーミングアップを始めても、"KING"レブロン・ジェームズは数分間、姿を見せなかった。そして、19時16分、全速力で控室からコートに飛び込んでくると、溌剌とした動きでシュート練習を開始。この時のレブロンの目は鋭かった。
精彩を欠くラッセル・ウェストブルックも、何かを吹っ切ったような表情を見せていた。
1Q序盤、ウェストブルックは2本のプルアップを決め、復調の兆しを見せる。その後ジャズの選手が倒れると、コートに付着した汗を、自ら手にしたモップで念入りに拭き取る。そんな背番号0にホームのファンは大歓声を浴びせた。
レブロンは、試合開始から4分29秒で3ポイントに続くステップバックショットで5得点目をマーク。KINGのこのプレーでレイカーズが13-9とリードした折、いつもとは違った雰囲気を感じた。
1Qを終えて24-25と1点のビハインドを負っていたが、2Q残り2分にウェストブルックがドライブからのダンクを決め、50-40と10点差に。「もう不調は抜け出したぞ!」なるメッセージが込められたかのような背番号0のパフォーマンスに、アリーナは燃え上がる。
しかし……。
ハーフタイムを52-46、3Qに入ってからも7点差をつけてリードしたにもかかわらず、徐々にレイカーズは崩れ出す。立て続けに3ポイントシュートを失敗し、再三リバウンドでも競り負けて、同Q残り1分で68-78と、10点もの差を付けられてしまう。このQでウェストブルックは、5本のシュートを放ったが、全て失敗に終わった。
またしても、負の連鎖かーーーーと思わざるを得ない展開だった。
ジャズも試合巧者で、216センチのセンター、ルディ・ゴベアがゴール下での強さを発揮する。ガードのドノバン・ミッチェル、マイク・コンリー、更にはベテランのジョー・イングルスも要所要所で確実な仕事ぶりを見せた。
最終Qスタートを72-78と6点のビハインドで迎えたレイカーズだが、マリック・モンク、スタンリー・ジョンソン、テイレン・ホートン=タッカーら、セカンドユニットが躍動する。KINGに引っ張られながら、彼らはそれぞれ粘り強くボールを追う。
残り6分52秒で同点に追いつき、コツコツと点差を広げる。そこが、ここ数試合のレイカーズとの違いだった。
特に4Qの12分にフル出場したスタンリー・ジョンソンは6本中5本のシュートを成功させ、このQのみで10得点4リバウンドと存在感を示した。
25歳のジョンソンは、地元ロスアンジェルス出身。アリゾナ大で1年のみプレーし、2015年のドラフト全体8位でコールされてデトロイト・ピストンズ入りして73試合に出場した。その後、ニューオーリンズ・ペリカンズ、トロント・ラプターズと渡り歩き、今季はレイカーズのプレシーズンマッチを経験したものの、正式契約には至らなかった。
2021年12月24日に10日間契約で、レイカーズのユニフォームを身に着け、2度更新して、この日を迎えていた。サバイバルの渦中にいるジョンソンは、ジャズ戦でシンデレラボーイ的なパフォーマンスを演じた。
終わってみれば、チーム最長の37分17秒プレーしたレブロンが25得点7アシスト7リバウンド、27分40秒のウェストブルックが15得点3アシスト8リバウンド。彼らは、それぞれシュート成功率が20分の9、14分の5。本来の力を発揮したとは言えないかもしれない。
だが、マリック・モンクが24分53秒で14得点1アシスト7リバウンド、スタンリー・ジョンソンが、24分32秒で15得点3アシスト5リバウンド、テイレン・ホートン=タッカーが、28分で11得点と、控え選手の貢献が、連敗を脱する大きな要因となった。
これまで、ズルズルとミスを重ねて自滅していたレイカーズが、最終Qに逆転勝ちした姿に、ファンは狂喜した。今季の戦績を22勝22敗としたレイカーズ。このチームが勝たねばNBAは盛り上がらない。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デーだった17日は、12時30分からロスアンジェルス・クリッパーズvs.インディアナ・ペイサーズ戦が、19時30分より、同じ会場でレイカーズvs.ジャズ戦が催された。
クリッパーズ戦に訪れた観客が1万5080だったのに対し、レイカーズ戦は1万7238。やはり、注目度が違う。
試合後、KINGは語った。
「ゴベア対策として、メンバーの誰もが良いパフォーマンスができるように、かつ、ゲームをリードすることが可能な配置を考えただけのことさ。それが攻撃力に結び付くと分かっていたからね。彼らはそれぞれ良く応えてくれたけれど、特にスタンリーにとっては、大きな意味を持つゲームになったな。
このところ、自分たちの能力を生かせていなかった。チームとして機能していなかったよ。俺はレイカーズのリーダーとしての責任をまっとうする。レイカーズ全体が、それを理解してほしいな」
ジャズ戦を境に、レイカーズは巻き返せるか? KINGとセカンドユニットの融合は、間違いなくプラスの兆しを示した。後半戦に期待したい。