2年ぶりにリングに上がったWBAウエルター級チャンプ
2年以上リングから遠ざかっていたWBAウエルター級レギュラー・チャンピオンのエイマンタス・ スタニオニスが、ロンドン、リオと2度のオリンピックに出場したガブリエル・マエストルを3-0の判定で下して防衛に成功した。
2022年4月16日にWBAウエルター級王座に就いたエイマンタス・ スタニオニス。リオ五輪では2戦目で敗退したが、アマチュア時代から祖国リトアニアで将来を嘱望されていた男である。
現在14戦全勝9KOのスタニオニスは、丸2年ものブランクを余儀なくされた。昨年7月、無敗ノックアウトアーティスト、バージル・オルティス・ジュニアとの試合が組まれていたが、僅か2日前に3度目の中止となる。オルティスは複雑かつ非常に稀な筋肉疾患である横紋筋融解症に苦しみ、2度もファイトを延期した。しかし、2023年7月は重度の脱水症状と熱中症に見舞われ、最終記者会見の前夜に入院している。
直前のキャンセルは、スタニオニスに大きな打撃を与えた。2016年のオリンピアンは、想像もできなかった困難を乗り越えねばならなかった。
リトアニア人である彼が米国で客を集められるファイターと見なされていたら、急遽代役を立てて試合が行われた筈だ。
今回、WBAウエルター級チャンピオンは、リングに上がってマエストルと向かい合うまで、半信半疑だった。
試合が決まった際、スタニオニスは言った。
「これだけキャンセルが続いたので、実際に試合が実現するのか、それともまた消え失せるのか信じ切れない。試合会場で計量すれば、90パーセントくらいの確率で戦いが行われると感じるだろう。リングに上がってゴングが聞こえたら、僕は世界一幸せな男になるよ」
37歳で6勝(5KO)1分けの挑戦者とスタニオニスは、約10年前のアマチュア時代にも対戦していた。プロの世界タイトルマッチでは、放ったパンチの41%がヒットという驚異的な成功率で、リトアニアの星が再び勝利を収めた。
ベルトを守ったスタニオニスは語った。
「パワーショットが差を生んだ。マエストルはただ僕に触れただけ。こちらは彼に力を込めた重いパンチを打ち、常にプレッシャーをかけた。彼にとっては生きるか死ぬかの一戦だったと思う」
スコアは119-109、118-110、117-111と、スタニオニスは異論の余地の無く勝者となった。
スタニオニスは言葉を続けた。
「とにかく戦い続けたい。それが最優先事項だ。2年間も休養していたし、母国リトアニアでは最高のスパーリングパートナーがいなかった。次のキャンプではすべてが良くなる筈だ。
自分は錆びていないと発言したが、ライトに照らされたリングに上がると、やっぱり違う。長く悔しい時期を経てリングに戻れたのは、感慨深かった」
スタニオニスがリングに戻った日、同じ興行で暫定WBCウエルター級タイトルマッチも行われた。こちらもマリオ・バリオスがベルトを死守した。スタニオニスが腰に巻くWBAウエルターのスーパー王者は、WBCとWBOのタイトルを保持するテレンス・クロフォードである。
リトアニアの誇りには、今後どんなマッチメイクが施されるか。