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好調のネッツと5連敗したレイカーズの差

林壮一ノンフィクションライター
KINGらしさを見せてくれ!(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現地時間12月28日、ロスアンジェルス・レイカーズは敵地でヒューストン・ロケッツを132-123で下し、ようやく連敗を5で止めた。12月15日以来の白星ではあるが、最下位のチームを叩いたに過ぎず、依然として前途多難と言わざるを得ない。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 12月21日、23日、25日と、レイカーズは超満員となったホームで、いいところなく3連敗を喫した。21日は、現在西地区で2位のフィニックス・サンズに90-108、23日は同10位のサンアントニオ・スパーズに110-138、25日は東地区でトップを走るブルックリン・ネッツに115-122。チケットが完売したアリーナは、連日、落胆と不甲斐ない選手への怒りが渦巻いていた。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20211225-00274125

 レブロン・ジェームズは、サンズ戦で34、スパーズ戦で36、ネッツ戦で39、ロケッツ戦で32得点と、コンスタントにゴールを決めてはいるものの、勝利に繋げられなくては"KING"らしさが光らない。 

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 一方のネッツは、非常に対照的である。レイカーズに勝利した2日後にもロスアンジェルス・クリッパーズを124-108で下し、好調を維持。ケビン・デュラント、カイリー・アービング、ラマーカス・オルドリッジが健康安全プロトコル入りし、コートに立てない状況に置かれながらも、スティーブ・ナッシュ監督の目指すバスケットボールは決してぶれない。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 レイカーズ戦で36得点、クリッパーズ戦で39得点を挙げたジェームズ・ハーデンが大黒柱としてドンと構えながら、焦らず、冷静かつシンプルに周囲を使い、チームとしての一体感がある。

 セカンドユニットがプレーする時間帯になっても、連係がスムーズで、攻守に乱れがない。また、タイムアウトでベンチに引き上げて来る選手たちを、ナッシュが先頭に立ってタッチしながら迎える様に、闘う集団としての底力を見る。

レイカーズよりは内容のある負け方をしたクリッパーズ
レイカーズよりは内容のある負け方をしたクリッパーズ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 今のレイカーズに欠けているのは、こうした組織としてのまとまりではないか。

 とはいえ、やはりレブロン率いるレイカーズの人気は侮れない。25日のネッツvs.レイカーズの観客数は1万8997で、チケットはソールドアウト。27日のネッツvs.クリッパーズ戦は1万7128人のファンがクリプトドットコム・アリーナに足を運んだが、空席が目立った。

 因みに26日のデンバー・ナゲッツvs.クリッパーズの観客動員数も1万7759で会場を埋め尽くすことは叶わなかった。数字だけ見れば大きな差とは感じないかもしれないが、アリーナ内の空席は嫌でも記者席から目に留まる。

自身は34ゴールしたが、21日のサンズ戦は90-108で敗北
自身は34ゴールしたが、21日のサンズ戦は90-108で敗北写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 強いレイカーズを取り戻すには、何が必要か? "KING"レブロンはネッツ戦で、身をもって学んだ筈である。チームも自らをも、即刻奮い立たせてほしい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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