暫定WBCウエルター級チャンピオンが判定で防衛
5月4日に催された暫定WBCウエルター級タイトルマッチは、王者、マリオ・バリオスが、アルゼンチン人挑戦者、ファビアン・アンドレス・マイダナを判定で下してベルトを守った。
バリオスは、2021年6月26日にジャーボンテイ・デービスにKO負けし、WBAスーパーライト級王座から転落した。8ラウンドに2回、11ラウンドにもダウンを喫し、試合終了。バリオスにとってキャリア初の黒星は、心身ともに深いダメージを負うこととなった。
そればかりでなく、キース・サーマンを相手にした7カ月後の再起戦でもワンサイドの判定で敗者となる。限界説も囁かれるなか、2連敗後の元チャンプは奮起してウエルター級の体を作る。そして、2023年2月11日にWBCコンチネンタルアメリカ王座に就いた。
そして、昨年9月末日に、元WBAウエルター級チャンピオンのヨルデニス・ウガスとのWBCウエルター級暫定王座決定戦をワンサイドの判定でモノにし、ベルトを巻いた。
今回は、同タイトル初防衛戦として、22勝(16KO)2敗のアルゼンチン人挑戦者を迎えたのだ。
バリオスは第3ラウンドにお手本のような右ストレートをマイダナにぶち込み、ダウンを奪う。しかし、元2階級チャンピオンのマルコス・マイダナの実弟であるチャレンジャーは立ち上がり、試合終了のゴングまで、強靭なハートで食らい付く。トランクス2箇所に、サッカーの超名門チーム、ボカ・ジュニアーズのマークを入れていたが、それに恥じない闘志を見せた。
マイダナの追い上げにより、バリオスの右目が腫れていく。ラウンドを重ねるにつれ、王者の右目は塞がっていった。それでも暫定王者は手数で上回る。12ラウンドを通じたヒット数は139で、挑戦者の89に差をつけた。
結局、3名のジャッジ全員が116-111と採点し、チャンピオンが防衛を果たし、自身の戦績を29勝(18KO)2敗とした。
マイダナは言った。
「この負けは練習時間が足りなかったことが原因だ。でも言い訳はできない。もっと強くなって戻ってきて、いずれはアルゼンチンに世界タイトルを持ち帰るつもりだ」
ウエルター級の世界タイトルに、狙いを定めた勝者もコメントした。
「マイダナは予想通りフルラウンド、懸命に戦った。目が腫れて距離を掴むのが難しかったが、相手の隙を探しながら、基本に忠実に試合を進めた。
147パウンドで全力を尽くしたいし、最高の試合をする準備はできている。私はベルトを追いかけている」
そして、バリオスは「ビバ・メヒコ!」と結んだ。
ご存知のように、現在、ウエルターの世界王者はWBA/WBC/WBOがテレンス・クロフォードで、IBFがジャロン・エニスだ。バリオスは、ビッグマッチに辿り着けるか。