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マンションの宅配ボックス、「全戸玄関前に設置」に続く第3形状で生みだされる合理性

櫻井幸雄住宅評論家
マンションのエントランスに配置された宅配ボックス。これが第1形状だ。筆者撮影

 分譲マンションで、「全戸宅配ボックス付き」が登場したのは2018年から。その前年11月、国土交通省はマンションの宅配ボックス設置数を増やすため、「宅配ボックス設置部分の容積不算入」を決めた。

 簡単にいえば、宅配ボックスを付けても、住戸面積を削らずに済むようになった。この規制緩和を受け、分譲マンションに登場したのが、「全戸宅配ボックス付き」という新工夫。郵便受けのように、1戸に1個宅配ボックスがつく仕組みである。

 全戸宅配ボックス付きが実現する前、エントランスに限られた数だけ宅配ボックスを設置したのが第1形状というべきもの。便利だと人気と高めたが、近年宅配物の増加で、満杯になりやすく、利用できないケースが頻発するようになった。

 それで各住戸に大型の専用宅配ボックスを配置する方式は大いに歓迎された。これが第2形状となる。

 全戸分の宅配ボックスを設置する方法はマンションによって異なる。建物のエントランスに全戸分の宅配ボックスを備えるケースがあるし、建物の内部、全戸の玄関そばに宅配ボックスを配置する方式もある。

 各住戸の玄関前に大型宅配ボックスがあれば、留守中に届いた荷物をエントランスから住戸まで運ぶ手間が省かれる。ゴルフのキャディバッグのように長尺の荷物も留守中に受けとりやすい。

 第2形状は大型であるため、置き配に対応した鍵なしボックスや冷蔵庫機能を備えたボックス付きも開発されている。

 そして、今、第3形状と呼ぶべき手法が誕生した。第3形状が生み出すメリットを、利用者側とデベロッパー側の双方から解説したい。

第3形状は全戸用でも一部用でも採用できる

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住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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