北朝鮮が「レッドライン」を越せば、軍事オプション!

晩さん会では和気藹々の文在寅大統領とトランプ大統領

トランプ政権は北朝鮮と商取引している中国企業1社と中国人2人に制裁を科すなど北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するため伝家の宝刀である「セカンダリーボイコット」のカードを切ったが、その一方で軍事力の行使も検討し始めた。

米CNNは複数の消息筋の話として、米国防省が北朝鮮の核問題との関連ですでに対北軍事オプションをつくり、「トランプ大統領に提出する準備ができている」と、29日報じた。

CNNによると、軍事的選択肢は北朝鮮による核実験や弾頭ミサイルの発射があれば提出されることになっている。「レッドライン」を越せば、軍事オプションの準備は北朝鮮の核と弾道ミサイルの発射実験が米国を攻撃できる兵器開発に重大な進展があったことへの危機感の表れでもある。

(参考資料:北朝鮮 「ICBMの試験発射の準備ができている」と宣言

北朝鮮のミサイルが固形燃料を使用した弾道ミサイル開発にグレードアップされていること、核とミサイル実験を密かに行うことのできる能力を向上させていること、地下バンカーから持ち出して発射できる段階にいたったことなどから米軍の衛星が発射を事前に探知する時間がなくなったことなどが新たな脅威として浮上したようだ。

また、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は前日の28日、米国のシンクタンク「新米国安保センター」での講演でトランプ政権の対北政策を説明した際にトランプ大統領から「誰もが取ることを望まない軍事オプションを含む多様なオプションを準備するよう」指示があったことを明らかにした。

この発言を伝えたワシントンポストによると、マクマスター補佐官は「北朝鮮の脅威は差し迫っており、(歴代政権が)過去に失敗したアプローチは繰り返すわけにはいかない。トランプ大統領からも『同じ失敗を繰り返してはならない』との指示があった」と発言している。歴代政権の過ちとは、核・ミサイル実験→見返り→対話再開(合意)→決裂(破棄)→核・ミサイル実験を指すことは言うまでもない。

マクマスター補佐官は「トランプ大統領が米国と米国民を標的にする北朝鮮の核脅威を容認しないことを明らかにしているので我々はやれることのすべてのオプションを準備している」と語っていた。

(参考資料:北朝鮮に対する米軍の先制攻撃はいつでも可能な状態

CNNによると、米国の軍事オプションは最近グレードアップされたとのことだ。グレードアップの意味は不明だが、先制攻撃を掛けた場合に想定される北朝鮮の反撃の能力を防ぐ、あるいは削ぐ戦法が盛り込まれているようだ。

マティス国防長官も6月12日、米下院軍事委員会に出席し「北朝鮮の進展したミサイルと核プログラムは米国の安全保障に最も差し迫った危険な脅威になっている」と規定し、「北朝鮮との戦争に備え必要な準備をしなければならない」と語っていた。

マティス長官は「北朝鮮と戦争となれば、1953年(朝鮮戦争)以後、一度も見たことのない戦争になる。非常に深刻な戦争になる」との所感を述べたうえで「そうした戦争を遂行するうえでどのようなレベルの戦力が必要であってもそれに備えておかなければならない」と付け加えていた。

北朝鮮で1年3カ月以上拘束され、昏睡状態となって帰国した米大学生のオットー・ワームビアさんが死亡したことに関する最近の米世論調査によると、米国民の49%が「北朝鮮に罰を与えるため行動を取るべき」と考えており、「その必要はない」(35%)を上回った。

「行動を取るべき」との回答者のうち3分の1が「より強力な経済制裁」を挙げたが、6人のうち一人が「軍事行動を取るべき」と回答していた。

トランプ政権はこの問題ではティラーソン国務長官が「北朝鮮に責任を取らせる」と言明し、トランプ大統領も金正恩政権を「残忍な政権」と批判したうえで「こうした悲劇を終わらせる」と国民に約束した。北朝鮮にどう責任を取らせ、こうした悲劇を終わらせるのかについての言及はなかった。

トランプ大統領は米国を訪問した楊潔チ中国外交担当国務委員に「早い時期に朝鮮半島の非核化実現を推進しよう」という意向を明らかにした。その一方で「中国が解決できなければ、我々がやる」とも公言している。その4日後の今月26日にはインドのナレンドラ・モディ総理との会談後の共同記者会見で「北朝鮮の政権はとてつもない問題を引き起こしている」と述べ、「北朝鮮の問題を至急に解決しなければならない」と言明していた。持久戦、長期戦を強いられる制裁と圧力では「早期」にまた「至急」には解決できない。

北朝鮮が6度目の核実験をやれば、ICBMのテストをやれば、ペンタゴンは軍事オプションを大統領に提出するが、北朝鮮に「現在まで特異な動向はない」(統一部)ようだ。北朝鮮は今月8日に地対艦巡航ミサイル数発を日本海に発射した後、ミサイル発射を行っていない

今日30日(米東部時間)、ワシントンで韓米首脳会談が開かれるが、北朝鮮の出方が注目される。

(参考資料:衝撃の米国の対北朝鮮開戦シナリオ

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て、フリー。1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。1986年 テレビ、ラジオで評論活動開始。98年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー 。2003年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会会員、日本ペンクラブ会員。著書に「在日の涙 間違いだらけの日韓関係」(飛鳥新社)「世界が一目置く日本人、残念な日本人」(三笠書房)「大統領を殺す国 韓国」(角川)「金正恩の北朝鮮と日本」(小学館)「北朝鮮100の新常識」(マサダ)「韓国人と上手につきあう法」(ジャパンミックス)など20数冊

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