「もしトラ」が実現したら駐韓米軍を撤収 北朝鮮の非核化も断念! 次期有力米大統領補佐官候補が言明!
今年11月末の米大統領選挙でトランプ前大統領が勝利し、トランプ政権が復活した暁には安全保障担当大統領補佐官のポストが有力視されているエルブリッジ・コルビー元米国防副次官補が昨日(現地時間6日)、ワシントンで韓国の「聯合通信」の単独インタビューに応じ、第2期トランプ政権の対韓、対北政策及び韓国に駐留する米軍について見通しを語っていたが、どれも衝撃的な内容であった。
外交問題評議会と国際戦略研究所のメンバーでもあるコルビー元国防副次官補はインタビューでは記者の質問に概ね以下のように答えていた。
▲米国にとって北朝鮮は主な問題ではない。北朝鮮は本質的に米国にとって主たる脅威ではないのに北朝鮮(問題)を解決するために米国の幾つかの都市を失うのは合理的ではない。米国防総省は米国が様々な大規模戦争を同時にやれる軍事力を持っていないと言ってきている。仮に北朝鮮と戦えば、大規模の戦争となる。北朝鮮には武器も多く、何よりも(彼らは)狂信的である。
▲北朝鮮(問題)を解決するためこれ以上、朝鮮半島で米軍を人質にさせておくわけにはいかない。米軍戦力の多くが韓国にいれば、北朝鮮だけでなく、中国にもあまりにも近いためとてつもない先制攻撃を受ける可能性がある。
▲朝鮮半島有事に米軍を大規模展開する作戦計画は中国に対応する能力を消耗する点から修正する必要がある。朝鮮半島だけでなく米本土や他の所でも相当な兵力を北朝鮮と戦うため配置、投入するのは賢明ではない。その費用と消耗、そこに埋没する人力と資産、弾薬はあまりにもとてつもなく、米国が台湾を防御する力量を失ってしまう。
▲(朝鮮半島有事では)韓国軍は一人で最大限に耐えろと要請する。ヘビー級チャンピォンがミドル級の試合(朝鮮で戦争)をしてはならない。試合には勝てるが、大きな痛手を被り、疲労し、次のヘビー級の試合(中国との戦争)で負けるかもしれないからだ。但し、中国が朝鮮半島に直接介入した時は米国は支援する。
▲北朝鮮の核問題に対する伝統的なアプローチは完全に失敗しているのになぜそれに固執するのか?(バイデン政権の)今の対北政策は話にならない。その間、北朝鮮は核と長距離ミサイルの能力を強化し、ロシアと中国とより緊密に協力している。トランプ前大統領の非伝統的な観点とアプローチが伝統でなければならない。すべての選択肢を検討すべきで、北朝鮮指導部とより多く接触するのもそのうちの一つである。
▲現時点で北朝鮮の非核化は現実的ではないし、見込みもない。北朝鮮の過去数十年間の行動を考慮すれば、金正恩に核を放棄するよう説得すること自体が無理がある。米国の対北政策の目標は軍備統制のようなもの、即ち、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の射程距離を制限することに置くべきである。
コルビー氏の「仮に北朝鮮と戦えば、大規模の戦争となる」とか「勝てるが、大きな痛手を被り、疲労する」との発言は決して個人的な発言ではない。
北朝鮮がICBMをまだ手にしていなかった2016年2月24日、スカパロッティ前駐韓米軍司令官は米下院聴聞会で「北朝鮮との衝突は第2次世界大戦規模に匹敵することになるかもしれない」と証言し、その理由について「(双方の)軍事力と武器のレベルなどを考慮すれば、非常に複雑な形態で展開され、多くの死傷者が出る」と語っていた。
3月17日にはジョゼフ・ダンフォード統合参謀本部議長(当時)が米上院軍事委員会聴聞会で「好戦的な北朝鮮指導部は世界第4位規模の在来式軍事力」と証言し、同じ日に証言台に立ったマーク・ミレー陸軍参謀総長(当時)は「我が軍隊は満足できるような、戦争を実行する水準でない。犠牲者、死傷者が相当出てくる」と驚くべき証言を行っていた。
ちなみに第2次大戦での米軍の死者だけで約40万5千人、朝鮮戦争での米軍の戦死者は約3万6千人であった。
コルビー氏の駐韓米軍の撤収発言は韓国の安全保障を根底から揺さぶることになり、韓国にとっては実際に起きてはならない悪夢である。簡単な話、駐韓米軍は建国以来、北朝鮮の軍事脅威を防ぐ「用心棒」の役割を担ってきたからである。
韓国の(イ・ジョンソプ)国防長官は2022年8月1日、国会国防委員会に出席した際に野党・「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)委員(現代表)から「米軍がいなければ、北朝鮮に押されるのか」と質問された際に「韓国軍独自で対応できるかどうかは北朝鮮の核を考えると、深刻に判断しなければならない」と答弁していた。李代表は韓国の防衛費が北朝鮮のGNPの水準にあるのにいつまで米軍に頼っているのかとの趣旨からの質問をしていたが、李国防長官は明確に回答できなかった。
尹錫悦政権のみならず韓国の歴代政権は北朝鮮の非核化を前提としない軍縮交渉には一貫して反対してきた。
外務第一次官から安全保障室長に抜擢された張虎鎮(チャン・ホジン)氏は先月下旬、KBSとの対談で「米国が核凍結と制裁緩和で手を打つとか、北の核を一部認めたまま軍縮に向かうような妥協策は憂慮に過ぎない。米国の高位層はそうした計画はないと、中間段階はないと何度も念を押してくれている」と、国民の対米不安を払拭する発言をしたばかりだった。
それだけにコルビー元米国防副次官補は北朝鮮の非核化は非現実的との前提で核保有を容認したまま北朝鮮との軍縮交渉に臨むことを示唆したことは尹錫悦政権にとっては衝撃的である。
コルビー氏の発言の脈絡からトランプ前大統領は仮に米朝ハノイ会談(2019年2月)が決裂してなければ、米本土を狙った「火星17」や「火星18」などICBMの発射も極超音速ミサイルや「ヘイル(津波)」と命名された水中核戦略兵器の開発も軍事偵察衛星も防げたし、また、寧辺の核施設の凍結により核爆弾の増加も小型化も阻止できたと思っているのかもしれない。
確かなことは、2019年の時点で米朝合意の結果、敵対関係が解消され、外交関係が樹立されていたならば、北朝鮮の対露ロシア武器供与はあり得なかったことだ。