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今週は平年並みでも気温が上昇して熱中症注意のゴールデンウィーク突入

饒村曜気象予報士
ドライブ(ペイレスイメージズ/アフロ)

週はじめは気温が下がっても平年並み

 全国的に記録的な暖春が続いています。

 4月21日(土)の日本列島は、大きくて優勢な高気圧に覆われて晴れたために日射が強く、上空に乾いた高温の空気が流入したため、島根県川本で最高気温が32.1度など、東北地方南部から東日本、西日本では、最高気温が30度以上の真夏日を観測したところがでました。

 翌22日(日)も、北日本は寒冷前線が通過することで気温が少し下がったものの、東日本から西日本は引き続き大きな高気圧に覆われて晴れて日射が強く、群馬県館林で32.1度など、東北地方南部から東日本、西日本で、真夏日を観測しました。

 週明け、23日(月)の気温は、土日の気温に比べて約10度下がり、ひんやりと感じた人も多かったと思いますが、真夏並みの土日に比べれば気温が下がったといっても、これで平年並みです。

 今週前半は、日本の上空に寒気が入り、日本列島付近で前線が停滞しやすくなり、雨や曇りの日が多くなり、25日(水)には強い雨が降る所もあります(図1)。

図1 予想天気図(4月25日9時の予想)
図1 予想天気図(4月25日9時の予想)

 しかし、今週後半は、高気圧に覆われて晴れ、次第に気温が上昇してゴールデンウィークに突入です。

東京の4月の気温

 各地で今年一番高い気温を観測した22日(日)、東京都心部でも28.3度と今年一番の気温を観測しましたが、これは、4月としては142年間の観測で第4位の記録でした。

 23日(月)の最高気温は18.7度と平年を若干下回りましたが、週間天気予報によれば、今週の前半は気温が高くなり、幅を持たせてある週間天気予報によれば、週末は高ければ最高気温が30度を超える可能性があります(図2)。

図2 東京の4月の気温(4月24日以降は週間天気予報による)
図2 東京の4月の気温(4月24日以降は週間天気予報による)

 東京都心部の4月の最高気温の記録は、大正11年(1922年)4月28日の29.2度ですので、週末にはこれを上回って、初めての「4月の真夏日」になるかもしれません。

異常天候早期警戒情報

 ゴールデンウィークに気温が高くなるのは東京都心部だけではありません。

 気象庁は、毎週月曜日と木曜日に「異常天候早期警戒情報」を発表していますが、これによると、ゴールデンウィークの頃(4月28日から5月7日)の気温は、東北南部から九州北部にかけての広い範囲で、「かなり高い」となる確率が30%以上となっています(図3)。

図3 異常天候早期警戒情報(4月28日から5月7日)
図3 異常天候早期警戒情報(4月28日から5月7日)

 ほぼ全国的に熱中症対策など、高温に注意が必要なゴールデンウィークになりそうです。

 冬から春、春から夏と徐々に暑くなっていく場合は、体が暑さに順応していくため、熱中症などで体調を崩すリスクは小さくなると言われています。

 しかし、今年のゴールデンウィークの暑さは、体が慣れていないために体調を崩しがちな暑さです。そして、夏まで暑さが続くという長期予報がでていますので、少し涼しくなって体調を回復する時期がない可能性もあります。

紫外線にも警戒

 太陽高度が高くなると地表に降り注ぐ紫外線の量も多くなります。

 紫外線が人体に及ぼす影響の度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを指標化したものが「UVインデックス」です(図4)。

図4 UVインデックスに応じた紫外線対策(参考:環境省「紫外線環境保護マニュアル」)
図4 UVインデックスに応じた紫外線対策(参考:環境省「紫外線環境保護マニュアル」)

 「UVインデックス」は、季節変化があります。また、同じ季節でも日によって大きく変化しています(図5)。

図5 札幌市と那覇市の平成24年(2012年)の日最大UVインデックスの推移(黒点)
図5 札幌市と那覇市の平成24年(2012年)の日最大UVインデックスの推移(黒点)

 「UVインデックス」が「強い」以上となるのは、平成3年(1991年)から平成23年(2011年)の平均(図5の細線)では、沖縄県那覇が4月から10月、北海道札幌で6月から8月ですが、平成24年(2012年)の個々の日をみると、札幌でも4月下旬に「強い」の日が出現しています。

 今年のゴールデンウィークは、高気圧に覆われて、晴れて日射が強いと予想されていますので、紫外線に注意が必要な日が多いと思われます。

 気象情報の入手に努め、熱中症や紫外線に注意してゴールデンウィークを楽しんで欲しいと思います。

図1、図3、図4、図5の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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