週明けは気温が10度も下がっても平年並み 今夏は「ラニーニャもどき」で猛暑か?
全国的に記録的な暖春となっています。
春の気温が平年より高いという暖春が全国規模の年は、平成10年(1998年)や平成14年(2002年)、平成28年(2016年)など、平成になってから増えています。
4月として記録的な暑さ
4月21日(土)の日本列島は、大きくて優勢な高気圧に覆われて晴れたために日射が強く、南から暖気が入って気温が高くなり、島根県川本で最高気温が32.1度、兵庫県豊岡で31.8度など、フェーン現象も加わって気温が上昇したところを中心に、全国の27地点で真夏日となりました(図1)。
4月22日(日)は、北日本は寒冷前線が通過することで気温が少し下がりますが、東日本から西日本は引き続き大きな高気圧に覆われて晴れて日射が強く、南から暖気が入って気温が高くなる予想です。
日最高気温が30度以上の日を真夏日と言いますが、東北地方南部から九州までの広い範囲で真夏日の予想となっています。4月としては非常に高い気温を予想しています。
4月22日(日)の主な真夏日の予想地点
最高気温31度の予想
熊谷、秩父(埼玉県)
最高気温30度の予想
福島(福島県)、前橋(群馬県)、さいたま(埼玉県)、甲府(山梨県)、飯田(長野県)、岐阜(岐阜県)、名古屋(愛知県)、京都(京都府)、日田(大分県)
東京の4月22日の最高気温の予想は28度ですが、この4月に28度という気温は、東京の142年間の観測で、上位5位に入る気温です(表1)。
週明けは10度も気温低下
週明けは、日本列島を覆っていた高気圧が左へ移動し、寒気が少し入ってきますので、土日に比べて気温が10度くらい低くなります。
例えば、東京の22日(日)の最高気温の予想は28度ですが、23日(月)の最高気温の予想は18度で、その後は最高気温が22度前後の日が続くという予報です(図2)。
平年の最高気温が21度くらいですので、「週明けに気温が大きく下がった」というより、「週明けに平年並みに戻った」ということのほうが近いと思います。
夏までの気温予報
例年なら、気温が高い状態の月のあとに、気温の低い月があるのですが、気象庁が発表している今年の3ヶ月予報(表2)、暖候期予報(表3)によると、8月まで全国的に気温が高い状態が続く予報です。
暖候期予報で、北日本以外は気温が高い確率が50%、並の確率が30%、低い確率が20%となっています。長い期間を対象とした予報で、このように大きな差がでるのは珍しく、それだけ「今年の夏は気温が高い」という予報の精度が高いと考えられます。
ラニーニャ現象が終わる?
太平洋赤道域で、東部で海面水温が平年より高く、西部で海面水温が平年より低い現象をエルニーニョ現象といいます。太平洋赤道域西部の対流活動が不活発となり、その北にある太平洋高気圧が発達しないことから、日本付近は寒気が南下しやすくなり、不順な夏になりがちです。
これに対し、太平洋赤道域で、東部で海面水温が平年より低く、西部で海面水温が平年より高い現象をラニーニャ現象といいます。太平洋赤道域西部の対流活動が活発となり、その北にある太平洋高気圧が発達して、日本付近は寒冬と猛暑になりがちです。
今夏は、2月に寒冬をもたらしたラニーニャ現象が終わり、太平洋赤道域の東部の海面水温は平年並みに戻りそうです。しかし、太平洋赤道域西部の海面水温は引き続き平年より高い様態が続くことが考えられています(図3)。
つまり、地球規模でいえば、ラニーニャ現象ではなくなるのですが、日本に影響を及ぼす太平洋赤道域の西部については、ラニーニャ現象と似た現象(ラニーニャ現象もどき)によって、対流活動が活発となり、その北にある太平洋高気圧が発達します。また、インド洋の対流活動も活発で上空の高気圧であるチベット高気圧も発達し、日本付近まで張り出してくるという予想です(図4)。
このため、日本付近は太平洋高気圧の上にチベット高気圧が重なるという、いわば、布団の二枚重ね状態となり、ラニーニャ現象ではないのですが、猛暑になると考えられています。
長く続く暑さ対策
冬から春、春から夏と徐々に暑くなっていく場合は、体が暑さに順応していくため、熱中症などで体調を崩すリスクは小さくなると言われています。
しかし、今年の暑さは冬から急に来た暑さです。体が慣れていないために体調を崩しがちな暑さです。
そして、暑さが続くために体調を回復する時期がなくなる可能性もあります。
今年の暑さ対策は長く続きますので、気象情報の入手に努め、健康管理に注意して欲しいと思います。
図1、図2、図4、表2、表3の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:気象庁ホームページに説明文を加筆。
表1の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。