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近畿から東海は荒れたゴールデンウィーク明けの通勤・通学 関東以北は雨の日が数日続く

饒村曜気象予報士
傘をさす日本人女性(写真:アフロ)

低気圧からのびる寒冷前線

 令和6年(2024年)5月7日のゴールデンウィーク明けは、日本海に低気圧からのびる前線が通過しそうです(図1)。

図1 予想天気図(5月7日9時の予想)
図1 予想天気図(5月7日9時の予想)

 このため、通勤・通学時間帯の近畿東海地方では、前線に向かって強い南風が吹き、雷を伴って非常に激しく降る所もある見込みですので、十分な注意が必要です(図2)。

図2 雨と風の分布(7日9時の予想)
図2 雨と風の分布(7日9時の予想)

 九州や沖縄では昼頃からは次第に晴れ間が広がってきますが、その他の地方では雨の所が多くなる見込みです。

 気温はゴールデンウィークの頃に比べればかなり下がりますので、体感としては寒く感じると思いますが、下がってほぼ平年並み(北海道では平年より高い)となるでしょう。

 こどもの日の5月5日は、最高気温が30度以上の真夏日は116地点(気温を観測している全国914地点の約13パーセント)程度、最高気温が25度以上の夏日が524地点(約57パーセント)と、今年最多でした。

 しかし、ゴールデンウィーク最終日の5月6日は、真夏日が9地点(約1パーセント)、夏日が151地点(約17パーセント)と激減し、そして、明けの7日は真夏日がなく、夏日が69地点(約8パーセント)くらいと、さらに少なくなると予想されています(図3)。

図3 全国の真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(5月7日以降は予測)
図3 全国の真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(5月7日以降は予測)

 ゴールデンウィークの頃に比べれば、かなり少なくますが、これでほぼ平年並です。それだけ、ゴールデンウィーク中は気温が高かったのです。

東京の16日間予報

 東京の気温の推移をみると、5月5日の昼過ぎに最高気温27.7度を観測した後、夜は19度位までしか気温が下がりませんでした。

 それが、5月6日になると、曇りや雨の天気で、日中は気温が平年を少し上回る程度までしか気温が上昇しませんでしたが、最低気温は夜になっても20度位と、平年をかなり上回っています(図4)。

図4 東京の気温の推移(5月5~6日の実況と7~9日の予想、最低気温の予想は朝の最低気温の予想)
図4 東京の気温の推移(5月5~6日の実況と7~9日の予想、最低気温の予想は朝の最低気温の予想)

 5月6日は一日の気温変化が小さな日だったのですが、この傾向は5月7日も続く見込みです。

 そして、5月8日に夏日になったあと、気温は平年を下回る見込みです。これは、北日本を中心に、上空約1500メートルで0度以下という寒気が南下してくるからですが、この寒気の南下は一時的です(図5)。

図5 上空約1500メートルの気温分布予想(5月9日未明の予報)
図5 上空約1500メートルの気温分布予想(5月9日未明の予報)

 その後は、気温が平年より高い日が続く予想となっています。

 ウェザーマップでは、16日先までの各地の天気予報を発表しています。

 この16日先までの東京の天気予報をみると、降水の有無の信頼度が、5段階で1番低いEや、2番めに低いDが多く含まれている予報ですが、傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨が降る可能性が高い曇り)が数日続いたあと、お日様マーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)の日が数日続くという周期変化をしています(図6)。

図6 東京の16日先までの天気予報
図6 東京の16日先までの天気予報

 そして、5月9日を除くと、気温が高い日が続くという予報になっています。

続いている高温傾向

 今年の東京の最高気温は、平年より高い日が多く、しかも、2月20日に23.7度、3月31日に28.1度、4月28日に28.2度と極端に平年より高い日がある一方、平年を大きく下回る日は少なく、気温が高めに経過しているということができます(図7)。

図7 東京の最高気温と最低気温の推移(5月7日以降はウェザーマップの予報)
図7 東京の最高気温と最低気温の推移(5月7日以降はウェザーマップの予報)

 最低気温も最高気温と似た傾向を示しています。

 1月25日と2月7日は最低気温が氷点下となって冬日となりましたが、平年より高い日が多く、特に、4月、5月(予報を含む)は、ほとんどの日で平年を上回りました。

 気温が平年より高い日が多い傾向は、東京だけでなく全国的です。

 年平均気温偏差は年によって増減がありますが、長期変化をみると、どんどん気温が上昇していることを示しています。

 また、気温偏差が一番大きかったのは、去年、令和5年(2023年)の1.29度とずば抜けて高い値となっています。

 全国の一か月間の平均ですから、なかなか0.1度は上昇しません。このため、気象庁では、小数第2位まで計算しているのですが、高い値は去年だけではありません。

 歴代2位が令和2年(2020年)の0.65度、3位が令和元年(2019年)の0.62度、4位が令和3年(2021年)の0.61度、5位は令和4年(2022年)の0.60度と、年平均気温偏差の高い年の上位5位まで令和が独占しています。

 つまり、令和という年は、これまですべてでランクインです。

 令和5年(2023年)は、1月こそ-0.03度と僅かにマイナスでしたが、その他の月はプラスで、特に3月と9月は大きなプラスでした(図8)。

図8 令和4年(2022年)1月から令和6年(2024年)4月までの月別気温偏差
図8 令和4年(2022年)1月から令和6年(2024年)4月までの月別気温偏差

 今年、令和6年(2024年)も、4月まで各月で平年を上回っています。しかも、4月は2.76度と大きく上回っており、1月から4月までを単純に比べれば、令和6年(2024年)は、記録的な暑さ(歴代一位)の昨年、令和5年(2023年)を上回っています。

 近年は、昔の夏期間の始まりの気温は、気温上昇によって1ヶ月ほど早い時期になり、昔の夏期間の終わりの気温も、気温上昇によって半月から1ヶ月遅くなっています。その結果、夏期間は昔に比べてかなり長くなっています。

 また、温暖化による気温上昇量が一番大きいのは春であることから、夏が早く始まることによって早まる春の終わりより、春の始まりが大きく早まることで、春期間も長くなっています。

 これに対し、厳しい残暑によって秋が始まる時期が大きく遅くなるわりには、秋が終わって冬になる時期が遅くならないため、秋期間は短くなります。

 そして、冬は始まりが遅くなり、終わりが早くなることで期間が短くなります。

 令和は記録的な暑さの時代で、これまでの「春夏秋冬の四季」というイメージとは違い、「春と夏の二季」というイメージになりそうです。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図3、図4の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図7の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図8の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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