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台風18号のコースは過去の統計からも全国的に大雨

饒村曜気象予報士
気象衛星「ひまわり」の赤外画像(平成29年7月15日9時)

台風18号の大雨

 東シナ海にある大型で強い台風18号が九州に接近し、秋雨前線の活動が活発化しています。このため、今日(9月16日)は西日本から東日本の太平洋側を中心に雷を伴う激しい雨が降り、明日(9月17日)は、西日本から東日本の広い範囲で雷を伴う激しい雨が降る見込みです。

図1 台風18号の進路予報(平成29年9月16日9時の予報)
図1 台風18号の進路予報(平成29年9月16日9時の予報)

 台風18号の情報については、常に最新のものを入手して下さい。

 気象衛星画像から見た台風の眼は、昨日(9月15日)よりは、はっきりしなくなっています。記録を更新するような低い気圧での台風上陸の可能性は少なくなりましたが、それでも中心気圧は955ヘクトパスカル、最大風速は毎秒40メートルという、強い台風であることには変わりがありません。

 気象庁が9月16日5時18分に発表した全般気象情報「台風18号に関する情報75号」によれば、各地の予想雨量は、表のようになり、今日と明日の予想雨量を単純に合計すると、九州、中国、四国、近畿、東海では総雨量が500ミリを超えます。

 激しい雨の範囲が違うと、単純合計にはならないのですが、それでも、かなりの大雨が降る予想です。

表 全般気象情報(9月16日5時18分)をもとに計算した台風18号の雨量
表 全般気象情報(9月16日5時18分)をもとに計算した台風18号の雨量

総雨量が500ミリを超える確率

 明治25年(1892年)から昭和53年(1978年)までに日本を襲った330の台風についての総雨量を統計し、台風の進路別、地方別に総雨量が200ミリを超える台風の割合(図2上段)と、500ミリを超える台風の割合(図2下段)を計算したことがあります。

 これによると、台風が北東進をして九州を直撃すると、紀伊半島や四国、九州地方では500ミリ以上の総雨量となる確率が10%を超え(図2下段中央)、台風が北東進をして九州の少し北を通ると、その確率は20%を超えます(図2下段左)。

図2 総雨量が200ミリ以上の確率(上段)と500ミリ以上の確率(下段)
図2 総雨量が200ミリ以上の確率(上段)と500ミリ以上の確率(下段)

 また、総雨量が200ミリを超える確率は、西日本の太平洋側では50%を超え、東北地方でも10%を超えています。

 つまり、過去の統計から、台風が東シナ海を北東進して九州へ進む場合は、東海から四国、九州で総雨量が500ミリを超える大雨が降りやすく、総雨量が200ミリを超える大雨は東北地方まで降りやすいという特徴があります。

 全国的に台風18号と秋雨前線による大雨に警戒が必要な三連休です。

表の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成

タイトル画像と図1の出典:気象庁ホームページ

図2の出典:鈴木義男・饒村曜(1981)、台風の進路別降雨分布について、研究時報、気象庁。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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