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台風18号 24年ぶりに非常に強い勢力で上陸の可能性あり

饒村曜気象予報士
静止気象衛星「ひまわり」の赤外画像(9月15日9時)

非常に強い台風18号が九州へ

 東シナ海に非常に強い台風18号があり、北へゆっくり進んでいます。

 台風18号は、次第に向きを東よりに変え、やや加速して九州に接近、または上陸する可能性があります(図1)。

図1 台風18号の進路予報(平成29年9月15日9時の予報)
図1 台風18号の進路予報(平成29年9月15日9時の予報)

 台風18号の情報については、常に最新のものを入手して下さい。

 現在、台風の中心気圧は935ヘクトパスカルで、このまま九州に上陸するとなると、24年ぶりに非常に強い勢力で上陸することになります。

 24年前の平成5年(1993年)の台風13号が鹿児島県の薩摩半島南部に上陸した時の最低気圧は930ヘクトパスカルなので、これに次ぐことになります(表)。

表 台風上陸時の中心気圧(昭和26年以降)
表 台風上陸時の中心気圧(昭和26年以降)

今年の沖縄付近は記録的な猛暑

 台風18号が沖縄近海で発達したのは、今年の夏の特徴と関係していると思われます。

 今年の夏は、太平洋高気圧が西に強く張り出しています。

 関東から北日本は、太平洋高気圧の北への張り出しが弱かったために記録的な猛暑とはならなかったのですが、西日本や沖縄では記録的な猛暑となりました。

 沖縄県那覇では、85日間連続(6月20日から9月12日)で真夏日を記録しましたが、これは、観測史上、第一位です。

 このため、沖縄近海では海面水温が高い状態が続いており、しかも、ここは黒潮という暖かい海水が流れています。

 台風の発達は海面水温だけで決まるものではありませんが、水蒸気が豊富な暖かい海域に台風18号が北上してきたのが、台風発達の原因と考えられています。

台風18号の18という数字

 台風18号の18という数字に注意して下さい。

 過去の台風18号では大きな被害がでています。

 台風についての統計は、昭和26年(1951年)から行われていますが、上陸台風で一番気圧が低かったのは、昭和36年(1961年)の台風18号(第二室戸台風)です。

 近年でも、平成16年(2004年)の台風18号は、長い歴史がある広島県の厳島神社の一部が倒壊するなど、大きな被害が発生しています。

 また、平成25年(2013年)の台風18号では、京都市の桂川が氾濫するなど、大きな被害が発生しています。特別警報ができてから最初に発表されたのが、この台風18号による「大雨特別警報」です。

 さらに、記憶に新しい、平成27年(2015年)の鬼怒川の堤防決壊による大きな被害は、台風18号が日本海に進み、日本の東海上を北上した台風17号の間にできた細長い降雨域によるものです。

危険な秋台風

 例年、台風18番目は、9月から10月ごろに発生する秋台風です。

 秋になると、台風は日本の南海上から放物線を描くように日本付近を通るようになります(図2)。

図2 台風の主な経路(気象庁ホームページより)
図2 台風の主な経路(気象庁ホームページより)

 台風の通り道となる「太平洋高気圧の縁」が本州付近に位置するようになり、台風が日本列島を直撃しやすくなります。

 また、秋雨前線の活動を活発にして大雨を降らせることがありますので、秋台風は非常に危険な台風です。

 加えて、今回は、黒潮が蛇行していて関東から東海地方の沿岸の潮位が全体的に高くなっています。台風の進路によっては高潮が発生する可能性があり、もし高潮が発生した場合は、通常より潮位が高くなって被害が拡大する恐れもあります。

 台風情報に注意し、十分な警戒が必要です。台風接近時には、川や海に絶対に近づかないようにして下さい。

三連休は常に気象情報に注意

 三連休が始まります。運動会や文化祭、いろいろなイベントが企画されていると思います。台風の進路によっては、予定が変更されることがあるかもしれません。

 また、各交通機関は、一定基準の風が吹いたり雨が降ると、乗客の安全を考え運休しますので、運休があるかもしれません。

 三連休は常に気象情報に注意し、時間に余裕をもって、早め早めの行動をお願いします。

図の出典:気象庁ホームページ

表の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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