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2023年、フードライターの食で読み解く「外食」に何が起きていたか【4~6月】

松浦達也編集者、ライター、フードアクティビスト

【4月】植田日銀、本格始動(28日)

4月に学者出身として初めて日銀総裁に植田和男氏が就任。長く続いたマイナス金利政策の解除も近いと言われています。中長期では賃上げ、物価高が見込まれていますが、今年の円安傾向に、食材などの原価も急騰。人手不足も手伝って予期せぬ形で価格を上げざるを得ず、飲食店にとっては厳しい情勢が続くことになります。

それでもGWも近づく4月は”解禁”も目前で、世の中のムードもいやが上にも高揚します。高揚するといえばイタリア料理でしょう。用賀から明大前の一軒家へと移転した「スポルカチョーネ」や広尾の「メログラーノ」、京都・四条烏丸の「メッシタ・パーネ・エ・ヴィーノ」などイタリア料理の名店は満員御礼、パンパンに賑わっていました。

スポルカチョーネ(明大前)の「超すりたてジェノベーゼ」
スポルカチョーネ(明大前)の「超すりたてジェノベーゼ」

メッシタ・パーネ・エ・ヴィーノ(京都・四条烏丸)の肉のロースト
メッシタ・パーネ・エ・ヴィーノ(京都・四条烏丸)の肉のロースト

この頃には移動にも積極的な風潮が感じられるようになりました。ワインも飲めるおしゃれ立ち蕎麦店「すば」(京都・清水五条)には地元民から観光客までが列をなし、静岡の名店「シンプルズ」も満席続き。全国に名を轟かせる天ぷらの「成生」は変わらぬ揚げ技の冴えに、ご常連でも次の予約は半年先という盛況ぶり。

すば(京都・清水五条)の「ホルモンそば」
すば(京都・清水五条)の「ホルモンそば」

シンプルズ(静岡)の「もち旨鰹」は焼津のサスエ前田魚店から
シンプルズ(静岡)の「もち旨鰹」は焼津のサスエ前田魚店から

揚げはもちろん、庭園の借景も見事な成生(静岡)のカウンター
揚げはもちろん、庭園の借景も見事な成生(静岡)のカウンター

その一方で、”呑める魚屋”として知られる静岡・興津の「魚徳」や、名古屋・円頓寺のワインバー「コモン」では20~30代男女の姿も多く見かけ、本格的な春の訪れが近いことが予感されました。

飲める魚屋として知られる「魚徳」(興津)。刺身や揚げ物のほか、アルコール飲料も多士済済
飲める魚屋として知られる「魚徳」(興津)。刺身や揚げ物のほか、アルコール飲料も多士済済

フェスも帰ってきました。22日に行われた、お世話になっている『dancyu』さんのお祭り、「dancyu祭り」にも顔を出し、会場からそのまま空港経由でフランス・ブルゴーニュ出張へと向かうはずが、まさかの成田と羽田を取り違え、大汗をかきながらタクシーで3万円(メーターは3万4000円くらいでしたが、成田→羽田は定額割引あり)かけて、エールフランスの機内へと駆け込みました。

人生でもっとも焦ったタクシー乗車
人生でもっとも焦ったタクシー乗車

ブルゴーニュ滞在はたいへん学びの多い一週間でしたが、円は対ユーロでもなかなか厳しく、ホテルの朝食のパンとチーズにもたいへんお世話になった滞在となりました。

ブルゴーニュ地方のボーヌで滞在したホテルの眼の前にあったブーランジェリーのジャンボンブール
ブルゴーニュ地方のボーヌで滞在したホテルの眼の前にあったブーランジェリーのジャンボンブール

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編集者、ライター、フードアクティビスト

東京都武蔵野市生まれ。食専門誌から新聞、雑誌、Webなどで「調理の仕組みと科学」「大衆食文化」「食から見た地方論/メディア論」などをテーマに広く執筆・編集業務に携わる。テレビ、ラジオで食トレンドやニュースの解説なども。新刊は『教養としての「焼肉」大全』(扶桑社)。他『大人の肉ドリル』『新しい卵ドリル』(マガジンハウス)ほか。共著のレストラン年鑑『東京最高のレストラン』(ぴあ)審査員、『マンガ大賞』の選考員もつとめる。経営者や政治家、アーティストなど多様な分野のコンテンツを手がけ、近年は「生産者と消費者の分断」、「高齢者の食事情」などにも関心を向ける。日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクター

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