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2023年以降の飲食店にもっとも求められる技術とは

松浦達也編集者、ライター、フードアクティビスト
(写真:イメージマート)

昨年末の2022年の流行総括、及び先月の2023年予測の記事(1)、(2)を読み返していて、ふと言葉足らずだったことに気がついた。「冷凍」についてである。10大ニュース&予測という立て付けだったので、ずいぶんあっさり書いてしまったが、冷凍(及び解凍)と食材の「保存」については来年以降にも続く、今年の重要課題だ。

まずは概況から。実は2021年は、国内の家庭調冷凍食品の生産量が初めて業務用を上回った年だった。一般的には、コロナ禍を経て外食需要は減り、巣ごもり需要が増えたからという説明がされている。だがことはそう単純ではない。

「ロイヤル」が見ていた時代の先

ファミリーレストラン大手「ロイヤルホスト」を運営するロイヤルホールディングスはコロナ禍前から新しい業態を模索する実験業態を運営していた。2017年11月に馬喰町にオープンした「ギャザリングテーブルパントリー」である(現在は閉店)。

この店舗は完全キャッシュレスなどで当時話題になったが、調理工程においてもかなりのイノベーティブな実験店舗だった。当時、飲食店の人員確保が難しくなっていることを背景に、ロイヤルはできる限りマンパワーに頼らない店舗運営を模索していた。もちろん調理部分についても同様で、セントラルキッチンで調理した冷凍食品を中心に、厨房内ではフライパンを使わず、電子レンジ中心の調理、それもかなり細やかなチューニングがされたレンジ調理を開発・実践していた。

そうした知見を積み重ね、パンデミック直前の2019年12月24日、東京・二子玉川に「ギャザリング・テーブル・パントリー(GATHERING TABLE PANTRY)二子玉川」をオープンさせ、自社工場発の冷凍食品「ロイヤルデリ」を発売した。

先行の開発アドバンテージもあって、コロナ禍におけるレストランブランドの冷凍食品として注目され、報道で「ロイヤルHDの野々村彰人常務は「5年、10年後は『家庭が一番いい』という時代になると思う。より豊かな食を家庭でも実現していきたい」と話した」という。現在はコロナ禍の揺り戻しで外食に光が当たっているが、この3年間でリモートワークやZoomでの会議は当たり前のこととなり、外食一辺倒だった企業人たちが内食に戻ってきた。さすが老舗ファミレス「ロイヤル」の重鎮。慧眼である。

特殊冷凍という思想と技術

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編集者、ライター、フードアクティビスト

東京都武蔵野市生まれ。食専門誌から新聞、雑誌、Webなどで「調理の仕組みと科学」「大衆食文化」「食から見た地方論/メディア論」などをテーマに広く執筆・編集業務に携わる。テレビ、ラジオで食トレンドやニュースの解説なども。新刊は『教養としての「焼肉」大全』(扶桑社)。他『大人の肉ドリル』『新しい卵ドリル』(マガジンハウス)ほか。共著のレストラン年鑑『東京最高のレストラン』(ぴあ)審査員、『マンガ大賞』の選考員もつとめる。経営者や政治家、アーティストなど多様な分野のコンテンツを手がけ、近年は「生産者と消費者の分断」、「高齢者の食事情」などにも関心を向ける。日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクター

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