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早咲誠和アマ(46)史上最年長での新人王戦決勝進出なるか? 強豪・増田康宏六段(21)と24日に対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の写真撮影・画像作成:筆者)

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 早咲誠和(はやさき・まさかず)さんは2018年に「しんぶん赤旗全国将棋大会」(通称:赤旗名人戦)で優勝するなど、数々の実績を残しているトップアマです。

 将棋のプロ公式戦である「新人王戦」とアマ大会の赤旗名人戦は、「しんぶん赤旗」が長年に渡って主催している棋戦です。近年では赤旗名人がアマ代表として新人王戦に出場するのが恒例となっています(アマに年齢制限はありません)。

 今期新人王戦に出場している早咲さんは、1回戦から順に横山友紀三段、梶浦宏孝四段(現五段)、三枚堂達也六段(現七段)、大橋貴洸五段を連破。そして準決勝にまで進出しました。

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 準決勝で早咲さんが対戦するのは、若手トップクラスの増田康宏六段(21歳)です。増田六段は新人王戦では2016年、17年と2連覇を達成しています。また今年2019年には銀河戦で羽生善治九段を破るなどしてベスト4に進出。次代の将棋界をになう逸材と言っても過言ではないでしょう。

 対局は9月24日10時から、東京・将棋会館でおこなわれます。持ち時間は各3時間。通例では、夕方頃に終局となります。

 勝者は既に決勝進出を決めている高野智史四段(25歳)と優勝をかけ、三番勝負を戦います。

 新人王戦でアマチュアが決勝まで進出したのは、2010年の加來博洋(かく・はくよう)さんだけです。加來さんは決勝三番勝負で阿部健治郎四段(現七段)と戦い、1勝2敗で準優勝となりました。

新人王戦の年長記録

 現在、新人王戦に出場できる条件は原則的に、六段以下、かつ26歳以下です。藤井聡太七段(17歳)は昇段が早すぎるため、昨年2018年の優勝を最後に「卒業」となりました。

 26歳以上で四段に昇段した棋士は、1回限りで出場できます。2014年、41歳でプロ編入試験に合格した今泉健司四段は、2016年の新人王戦に出場しています。

 棋戦開始当初は「六段以下」という条件はあったものの、年齢制限(後に30歳以下、現在は26歳以下)はありませんでした。そのため1970年の第1回では44歳の橋本三治五段(没後八段)が準優勝しています。

 もし46歳の早咲さんが決勝に進出し、準優勝以上が確定すれば、49年ぶりの年長記録更新となります。

 早咲さんは、木村一基九段(46歳)らと同じ1973年生まれです。木村九段は現在、王位戦七番勝負で豊島将之王位に挑戦して3勝3敗。9月25日・26日におこなわれる最終第7局に勝てば、初タイトル獲得と、その最年長記録が更新されます。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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