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あなたの知らない「くしゃみ」の世界 #専門家のまとめ

倉原優呼吸器内科医
イラストACより使用

花粉症の季節がやってきました。まだまだインフルエンザや新型コロナが流行しているため、人前でくしゃみを連発すると、結構気を遣いますよね。本日はそんな「くしゃみ」について科学的考察をお届けしましょう。

ところで、くしゃみのことを医学用語で何というか知っていますか?驚くなかれ、噴嚔(ふんてい)といいます。私も記事を書くようになって初めて知ったくらい知名度は低いです。医学の世界で、くしゃみそのものがあまり注目を浴びていないことも影響しているのかもしれません。

▼くしゃみの速度は思ったほどではないという研究結果、新幹線よりかなり遅い

▼ほとんどの国が「アチュー(achoo)」という音でくしゃみをする

▼男性のほうが女性より呼吸筋が発達し、くしゃみ前に吸う空気量が多いので音が大きい

▼呼吸を止めたり鼻をつまんだりすると、くしゃみによる気道内圧は通常時の5~24倍に

咳やくしゃみが出る場合、周囲に人がいなければ普通にくしゃみしてよいと思いますが、人がいる場合はエチケットを守ることが重要です()(1)。

図.咳とくしゃみのエチケット(参考資料1より引用)
図.咳とくしゃみのエチケット(参考資料1より引用)

マスクを着用していれば内側で飛沫を捕捉できますが、花粉症のように何度もくしゃみが出ると、マスクがビショビショになってしまいます。それを懸念して、くしゃみが出そうな瞬間に息を止めて我慢してしまうケースもあるでしょう。呼吸器に病気を持っている人はくしゃみのときに息止めをすると呼吸器系へのリスクが高いため、ご注意ください。

(参考)
(1) 厚生労働省. 咳エチケット(URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000593495.pdf

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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