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「鬼滅の刃」きょう最終回 総合視聴率は人気ドラマ並みの高さ維持 でもメディアの反応は鈍く

河村鳴紘サブカル専門ライター
「鬼滅の刃 遊郭編」の公式サイト

 テレビアニメ「鬼滅の刃 遊郭編」がきょう13日、最終回を迎えます。23時15分という遅い時間帯の放送にもかかわらず、他の同時間帯番組と比べてリアルタイムの視聴率は高く、7日間までの再生視聴のデータ「タイムシフト視聴率」に至っては、人気ドラマ以上です。しかし以前は「鬼滅の刃」の視聴率など記事を熱心に書いていたメディアも、最近は反応が鈍いのです。

◇「話題」感出しづらく

 メディアの立場を言えば、仕方のないこともあります。同作の視聴率の記事を書いても原則「見栄え」がしないことです。読者の皆様に叱られるのを覚悟して端的に言えば、人の目を引く見出しにしづらい……ということです。

 世帯別の視聴率は、昨今インターネットの普及などもあり「テレビ離れ」が進んでいるため、高い数字が出ません。特にリアルタイムの視聴率は、実態と乖離(かいり)する面があるのは確か。そのため読者や識者から「記事にする意味がない」と批判されることが増えています。

 ですがリアルタイムの視聴率も利点があって、原則放送翌日にデータが出ることと、これまでの蓄積があるので、記事を読む側もイメージがつかみやすいことです。

 一方、リアルタイムの視聴率は、放送時間でかなり左右されます。録画再生やネット配信視聴も当たり前です。リアルタイム視聴を絶対視せず、「精査」してワンクッション置く必要があるのはその通りでしょう。ですが「精査」は速報重視のメディアからすると苦手な面があります。いずれにしても、今やリアルタイムの視聴率は数字が低く、「話題になっています」という感じが出しづらいのです。

 そこでメディアとしても、有力な番組の視聴率が思ったほど伸びない場合、記事で使う言葉を工夫して、好調さを強調します。しかし、ネットに書き込むユーザーは、「ダメならダメ」とストレートに書き込むわけです。数字が伸びないのは事実なので、ネットユーザーの言い分が正論に見えてしまいます。難しい時代なのです。

◇視点で変わる人気の構図

 そこでリアルタイムと、タイムシフトの両方のデータが現時点でそろっている「1月24日~1月30日」の視聴率(関東地区)を見てみます。

 ニュースの題材に使われるリアルタイム視聴率。ドラマやアニメなどのエンタメ系の上位に来るのは、連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」と大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のNHKの二大コンテンツ。続いてTBSの日曜劇場「DCU」、フジの月9「ミステリと言う勿れ」になります。いずれも視聴率の伸びる時間帯で放送されており、各局の顔となるドラマばかりです。

【世帯視聴率 リアルタイムのみ エンタメ系】

・カムカムエヴリバディ(18.5%)

・鎌倉殿の13人(15.4%)

・DCU(15.2%)

・ミステリと言う勿れ(13.2%)

 そしてエンタメ系以外では、ニュースやスポーツ系、バラエティーが強いですよね。同じ「1月24日~1月30日」で追うと、下記番組が目立ちました。

【世帯視聴率 リアルタイムのみ エンタメ系以外】

笑点(17.7%)

NHKニュース7(17.5%)

ワールドカップカタールアジア地区最終予選・日本×中国(16.2%)

タモリステーション・二刀流大谷翔平の軌跡(15.9%)

真相報道バンキシャ!(15.5%)

ザワつく!金曜日(15.3%)

 ちなみに「鬼滅の刃・遊郭編」の世帯リアルタイム視聴率は8.2%で、かなり差をつけられています。視聴率が伸びない傾向にあるアニメで、しかも23時という、世間の常識的には“深夜”といって良いほど、遅い時間帯を考えると「すごい」のですが、数字映えしないのはその通りでしょう。

 ですが「個人視聴率」で、リアルタイムとタイムシフトを合わせた「総合」で考えると、人気ドラマと肩を並べ、人気の「笑点」(11.2%)を抜き去るのです。そして録画・再生されやすいエンタメ系番組が上位をほぼ独占します。

【個人視聴率 リアルタイムとタイムシフトを合わせた「総合」】

・ミステリと言う勿れ(16.3%)

・カムカムエヴリバディ(14.5%)

・DCU(14.0%)

・鎌倉殿の13人(13.8%)

・鬼滅の刃・遊郭編(13.3%)

 「鬼滅の刃・遊郭編」は、遊郭が舞台だけに、視聴者に配慮して遅くしたのは妥当なのでしょう。世帯の視聴率は各話概ね安定していて、リアルタイムで7~8%、タイムシフトで12~13%でした。

 ですが、19時からアニメの第1シーズンを再放送したときは、リアルタイムで13~14%。21時から地上波で初放送した「無限列車編」はリアルタイムで21.4%でした。23時からの放送で、数字はかなり下がったわけです。

 今は「男女13~49歳」などの若手から中堅世代に絞ったコアターゲットがトレンドで、テレビ関係者はそちらを重視しています。その視点では「鬼滅の刃」の評価は高いでしょう。しかし、世間がリアルタイムの世帯視聴率を見て、話題にする以上どうにもなりません。

 いずれにしても、人気の高さが、世間で話題になるリアルタイムの視聴率に反映されたとは言い難いのです。メディアも「鬼滅の刃」の人気は理解しているはずですが、記事にするのはややこしく、時間もかかるため「費用対効果」も良いとはいえません。ですから反応が鈍くなるのは仕方ないのかもしれません。

鬼滅の刃 遊郭編 「大本命」唯一の死角とは…

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サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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