マンガやアニメが社会的ブームになった「鬼滅の刃」の新作「遊郭編」があす5日から、毎週日曜日の23時(午後11時)15分に全国フジテレビ系などで放送されます。同作の視聴率の“合格ライン”を考えてみます。

◇遊郭編 総力を挙げた死闘が見どころ

 「鬼滅の刃」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で昨年5月まで約4年間にわたって連載された吾峠呼世晴さんのマンガが原作。人食い鬼を倒す「鬼殺隊(きさつたい)」になった竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、鬼になった妹を人に戻そうと奮闘する和風ダークファンタジーです。

 今回放送される「遊郭編」は、昨年10月に公開され、興行収入は歴代最高の400億円をたたきだしたアニメ映画「無限列車編」の続編です。

 「無限列車編」は、乗客が行方不明になる列車に乗り込んだ炭治郎らが、強力な鬼を倒すものの、その後さらに強力な鬼が現れ、鬼殺隊の最強の一人が倒されてしまう……という内容でした。

 「遊郭編」は、無限列車での任務を終えた炭治郎が、最強レベルの鬼が隠れているという遊郭へ向かいます。原作マンガでも展開された通り、遊郭という特殊な世界を舞台に、総力を挙げた死闘が見どころになりそうです。

◇視聴率は下落傾向もツイッターは好調

 さて「遊郭編」は、興収400億円を突破した「無限列車編」の続編だけに人気になるのは確実です。そして、その人気を推し測る指標の一つとなる世帯視聴率も、注目されるでしょう。

 ゴールデンタイムに再放送されたアニメ「立志編」は、何と10%以上をキープ。「無限列車編」の地上波初放送(午後9時~)は21.4%と人気ドラマすらもねじ伏せる結果でした。

 そして10月の23時15分から放送されたテレビアニメ版「無限列車編」。完全オリジナルのエピソードで構成された第1話は、遅い時間にもかかわらず10.0%と好スタート。しかし、アニメ映画に新作カットなどを入れて再編集した第2~7話の平均視聴率は6.7%でした。

 ツイッターなどで、テレビアニメのために追加された新カットを喜ぶ声がある一方で、同じような内容を続けて放送することに疑問の声もありました。第2話の視聴率は8.0%で、それ以降は下落傾向にありました。一方、ツイッターでは、関連ワードが他の番組を抑えてたびたびトレンド1位になるなど好調。この結果をどうとらえるか難しいところです。

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◇関係者の視聴率予想は

 人気を推し測る基準の一つといえば、やはり世帯視聴率になります。今は個人視聴率の重要性が声高に言われており、録画率や再生率、ネット配信なども気になるのですが、世帯視聴率が高いに越したことはありません。そこで、アニメにかかわる関係者ら(出版社、テレビ局、アニメ制作、メディアなど)に「遊郭編の世帯視聴率は何%と予想しますか」と質問しました。

 目立ったのは「10%」で、根拠はテレビアニメ版「無限列車編」のオリジナルエピソードが放送された第1話の視聴率でした。「無限列車編」の地上波初放送で20%を超えるパワーを認める一方で、今回の放送時間が遅い点をネックに挙げ、「若い層はネット配信で見るから、やはり視聴率は伸びづらいのでは」という見方です。

 中には「テレビアニメ版の『無限列車編』の放送は余計だったかもしれない。すぐ遊郭編を放送した方が良かったのでは」という厳しい指摘もありました。控えめに「8%」と予想する関係者もいました。

 一方で「12%は期待できる」「15%は」などという声も一定数ありました。ネット配信と録画視聴の層がいると認めつつも、「テレビ放送の強みは、ツイッターで盛り上がれること。ジブリ作品のテレビ放送も同じ」という見方です。

 関係者の約7割が挙げた10%、8%前後という答えを踏まえつつ、テレビアニメ「無限列車編」の実績を考えると、10%が“合格ライン”でしょうか。ですがこの時間帯ではかなりの数字であり、期待の表れと言えます。

◇関係者の予想を覆す底力

 ただし……「鬼滅の刃」はこれまで業界の常識を打ち破り、関係者の予想をことごとく覆してきました。

 コミックスが爆発的に売れすぎて、一時期は書店の棚から消えた時期がありました。多くの人気作を世に送り出した集英社の予測を上回ったわけです。

 続いてアニメ映画「無限列車編」の興収が400億円を突破しました。初週でロケットスタートを決めてもなお慎重な見方が多かったのですが、あざ笑うかのように日本一の興収になったのは、皆さんご承知の通りです。

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 そして「無限列車編」のブルーレイ・ディスクやDVDの販売数も、初週だけで130万枚を突破し、やはり関係者を驚かせました。アマゾンプライムなどのネット配信に押される現在、ブルーレイやDVDはかなりの苦戦傾向にあります。数万枚が売れたらヒット的な扱いですから、驚異的といえます。

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 そう考えると、関係者の声を再び裏切るような、驚異的な視聴率が出る可能性も捨てきれません。テレビアニメ版の「無限列車編」の視聴率についても「23時台の放送で、実質再放送のような内容にもかかわらず、これだけの数字を出せた」という見方も成り立ちます。

 ちなみに視聴率について「20%」の大台を口にした関係者もわずかにいました。「さすがに厳しいのでは……」と思う反面「絶対ない」とも言えません。アニメ映画、テレビアニメも含めて本当の完全新作ですし、これまでの快進撃を考えると何かが起こるかもしれません。もちろん「案外」ということもあるでしょうが……。

 遊郭編で主役格になる「音柱」の宇髄天元のせりふで、キャッチフレーズにも使われた「こっからはド派手に行くぜ。」のような盛り上がりを見せられるでしょうか。

 近年、視聴率の重要性が落ちてきたのは確かですが、それでも高視聴率となれば、さまざまな「流れ」が変わる可能性を秘めています。ぜひ関係者を驚かせる数字を期待したいところです。