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任天堂の「ニンテンドースイッチ」後継機 結局いつ発売されるの? 予想される三つの“シナリオ”

河村鳴紘サブカル専門ライター
(写真:ロイター/アフロ)

 任天堂は、同社の2023年度連結決算となる7日、自社のX(旧ツイッター)で「ニンテンドースイッチ」後継機について、「Switchの後継機種に関するアナウンスを今期中に行います」と発表しました。「今期中」とは「2025年3月まで」という意味。ゲームファンは喜ぶ一方で、「結局、後継機はいつごろに発売されるのか」と……なるわけです。そこで三つの“シナリオ”を考えてみます。

◇その1 2024年の年末

 一番可能性が低い“シナリオ”です。年末商戦はテレビゲームが圧倒的に売れる時期なのですが、現行のニンテンドースイッチのソフトは堅調に売れています。そこで後継機を売ると、現行の需要が食われてしまう可能性があります。

 6月に実施するネット情報番組「ニンテンドーダイレクト」で「後継機種を扱いません」と宣言している通り、任天堂が現状で売りたいのは後継機ではなく、現行機のソフトです。

 さらに言えば、後機機は最初は黙っていても売れる可能性が高く、仮に出したとしても、潤沢な需要に対して十分な台数が用意できるか疑問が残ります。任天堂は、後継機の発売を後ろ倒しにするような動きで一貫しているように、発売を急ぐ理由はないのです。

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◇その2 2025年1~3月に発売

 決算を重視する経済系メディアが予想する“シナリオ”です。年末商戦が過ぎて、このタイミングに新しいゲーム機を発売するというのは、よく使われる手。ニンテンドースイッチが発売されたのも、年末を避けており、2017年「3月」でした。

 年末商戦が終わった年明け(2025年1月ごろ)に後継機を発表して、3月末までに投入となれば、ゲームファンも盛り上がりますし、盛り上がるうちに商品発売を迎えるのは大きなメリットで、企業的にも業績に見栄えがするのは確かです。三つの“シナリオ”では最も高いと考えられます。

◇その3 2025年4月以降

 メディアの批判、決算の数字を度外視するのであれば、これも無視できない“シナリオ”です。ニンテンドースイッチのソフトの売れ行きが、依然として堅調であればという条件付きですが、「発売時期を2025年4月以降にする」という選択肢もあるでしょう。

 ニンテンドースイッチは今夏で、発売から後継機の発売まで「7年4カ月」も持った「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」を抜き去る“長寿”のゲーム機となります。任天堂も“長寿”のことを繰り返し「未知の領域」と言っているように、ゲーム機の交代サイクルをできるだけ引き延ばすというのは、環境面への配慮やソフトを長く売る戦略などから考えても、理想です。もちろん「新しいゲーム機を一刻も早く遊びたい」というゲームファンからすると、同意しづらい面もあるでしょうが……。

◇情報の小出し 効果的な販促

 今回の後継機の発表ですが、企業のプレスリリースではなく、Xのみにしています。後継機の発売予想について、メディアが予想記事を出したり、ゲームファンの間でも話題になっており、任天堂としてもプレスリリースを出すほどではないが、何かのアナウンスをして落ち着かせておこう……といったところではないでしょうか。何も言わないのも、憶測を呼んでしまうので、無難・妥当な手法と考えます。

 発売日まで情報を「小出し」にしながら、ゲームファンやメディアの興味を引く手法は、ソニーがPS5の発売時に実施し、発売時の盛り上げにつなげました。あまりにも興味を引きすぎ、希望小売価格よりも高値になるなど世界的に転売のターゲットにもされ、さらに物流の混乱にも巻き込まれた結果、長期の品不足になったのは想定外だったにしても、情報の盛り上げ方は大いに参考になるのではないでしょうか。

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 果たして任天堂は後継機について、既に内々に発売時期を決めているのか。それとも複数の“シナリオ”を用意しているのか。今後の動きにも注目です。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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