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米下院UFO公聴会詳報・後編「UFOは国家存亡の脅威。敵対的UFOに対する防衛力なし」証人の見解

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
ティク・タック型のUFOを目撃したと話すデビッド・フレーバー氏(写真手前)。(写真:ロイター/アフロ)

 全米が注目した米下院UFO公聴会。

 3人目の証人の退役海軍指揮官デビッド・フレーバー氏は、“ティク・タック”と呼ばれる、アメリカで人気のミント系のキャンディーに似た形状のUFOを目撃したことで知られる。ちなみに、フレーバー氏は、そのUFOについては、巨大なプロパン・タンクのような形状とも表現しているので、どんな形か想像できることと思う。同氏が目撃したUFOだが、目撃談は2017年12月、ニューヨーク・タイムズで紹介され、大きな話題となった。

ティク・タック型UFOと海面に白く波立つエリア

 フレーバー氏はどのようなUFO体験をしたのか? 

 時は2004年11月に遡る。同氏はカリフォルニア州サンディエゴ沖で軍事訓練を行っていたが、その時、母艦USSプリンストン号のレーダー・システムが、複数の異常な飛行物体を検知したのだ。この飛行物体について、同氏は以下のように証言した。

「飛行物体は高度8万フィート(約24キロメートル)以上から高度2万フィート(約6キロメートル)に急降下し、何時間かウロウロ飛ぶと、また上昇した。(戦闘機で)調査に向かうと、海面に白く波立っているエリアを見つけた。その日は晴天で微風しか吹いておらず、海も穏やかだったことから、青い海の中で白く波立っているエリアは目立っていた。見下ろすと、ティク・タックのような形をした飛行物体が海上でピンポンボールのように動いているのが見えた。その飛行物体まで800メートル以内のところまで近づくと、それは急速に加速して消えた。白く波立っていたエリアのところに戻ると、それもまた消えていた。同僚は“信じられないだろうが、その飛行物体は1分もかからずに60マイル(約96キロメートル)先まで移動した”と話していた。驚いたのは、この出来事が調査されなかったことだ。パイロットは質問もされなかった。私たちが経験したことは、物質科学や現在私たちが持っている能力をはるかに超えていた。そして、今後10〜20年間に私たちが持つことができる能力も超えていたと思う」

 質疑応答の中で、その飛行物体の外観について問われたフレーバー氏は「白く、表面は様々なセクションに分かれておらず、スムーズで、翼も窓もなかった」と答えた。

4機のUFOがダイヤモンド形で編隊飛行

 公聴会で、目にしたUFOについて話したのは証人だけではなかった。

 共和党議員のマット・ゲイツ氏もまた、自ら目にしたUFOの画像について説明した。同氏は、メキシコ湾でテスト飛行中にUFOと遭遇する事件が起きたことを知らされ、事実確認をするため、フロリダ州のエグリン空軍基地を訪ねた。しかし、画像などの情報提供を拒否される。それでも、最終的に画像を見ることができた同氏は目にしたUFOについて驚きを持ってこう話した。

「それは、アメリカや敵対国の人間の能力に結びつけられるものではなかった。4つの飛行物体が互いに同じ間隔を保ちながら、ダイヤモンドの形で編隊を組んでいる画像だった。パイロットがこれらの物体に近づくと、レーダー・システムがダウンし、フレア機能も故障したという。そのため、画像はマニュアル撮影されていた」

 ゲイツ氏はまた、UFOの目撃体験については、“沈黙のカルチャー”という問題もあると指摘した。

「パイロットの1人が『UFOを目撃した場合、自分のキャリアのためにそのことを忘れて、誰にも言わないのが一番だ。言うとキャリアに影響が出るからだ』と言っていた。真実に辿り着くには、このカルチャーを変えなければならない」

敵対的なUFOに対する防衛力なし

 公聴会の終盤、3人の証人たちは以下の質問を受けたが、5番目の質問を問われたグレーブス氏とフレーバー氏が「ノー」と答えた以外は、全員が「はい」「可能性がある」「フェアーな評価だ」などの回答をした。

1.UFOは機密情報を収集している可能性はあるか?

2.UFOは我々の能力を調査している可能性はあるか?

3.UFOは我々のシステムの脆弱性をテストしている可能性はあるか?

4.UFOは、米国の国家安全保障の存亡に関わる脅威を与える可能性はあるか?

5.UFOが敵対的になった場合、あなた自身やパイロットや戦闘機を防衛する能力はあるか?

6.UFOは我々の核の技術や能力に興味を持っている可能性はあるか?

 議員らは、フレーバー氏が目撃したような、10年〜20年後の人類でも到達できない超高度なテクノロジーを備えたUFOが存在し、また、そんなUFOが敵対的になった場合、米国の防衛力では太刀打ちできず、国家存亡の脅威になることを危惧しているようだ。

政府のUFOの調査員たちに対する侮辱

 一方、UFOの調査を一元化することを目的としている、ペンタゴンの全ドメイン異常解決オフィス(All-domain Anomaly Resolution Office=AARO)の責任者に1年前に任命されたカークパトリック氏は、リンクトインで、証人たちの訴えをこう非難している。

「公聴会は、AAROに参加している国防総省と情報機関の職員たちに対し、侮辱的なものだった。多くの人々が、キャリア上のリスクになるのではないかと不安を抱いていた」

 今後、UFO公聴会がどのような展開を見せるのか注目される。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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