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湯浅京己(阪神タイガース)が実戦マウンドに帰ってきた!最速151キロで若鯉を三者凡退に

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
実戦マウンドに帰ってきた湯浅京己

■湯浅復帰に鳴尾浜球場のスタンドがわいた

 阪神タイガース湯浅京己投手がようやく、ようやく実戦マウンドに帰ってきた!

 登板中に左脇腹を負傷したのが7月30日のウエスタン・広島東洋カープ戦(丸亀市民球場)だったから、約2か月ぶりになる。

 「2か月も経ったのか…」。

 時の過ぎゆく早さに湯浅投手もあらためて驚いたが、それくらいじっくりと、決して再発しないようにと時間をかけてリハビリに取り組んできたのだ。

 そして10月1日、同じカープ戦で復帰登板した。この日はウエスタン・リーグの今季最終戦、しかも日曜日ということもあったのだが、なにより「湯浅復帰」の報を見たからだろう、大勢のファンが鳴尾浜球場に詰めかけ、列をなした。早朝どころか前日からの徹夜組もいて、入場整理券は開門2分でなくなった。やはり、湯浅人気の高さは健在である。

 5-3と2点リードの六回表。その名がコールされると、スタンドには大きな拍手が沸き起こった。ブルペンから飛び跳ねるように出てきた湯浅投手は、勢いよくマウンドに駆けていく。

 いつものようにセットポジションからの投球練習。そのあと股割りで屈伸し、両手でおにぎりを握るようにボールをこねる。そして右手を高く上げるのも、おなじみの光景だ。

マウンドに駆けていく背番号65
マウンドに駆けていく背番号65

■1回をパーフェクトピッチング

 先頭の韮澤雄也選手への初球148キロのストレートは、外に外れてボール。2球目151キロもボール。続く148キロはレフト後方に弾き返されヒヤリとしたが、球威が勝り、野口恭祐選手が追いついてキャッチした。

 2人目の中村健人選手は、150キロの力のある高めの球で空振りを奪ったあと、フォーク2球はボール、最後は148キロのストレートで詰まらせてセカンドフライに打ち取った。

 3人目は持丸泰輝選手だ。初球はフォークボールで入ってストライク。続いて150キロのストレート、137キロのフォークは外れた。次の150キロで見逃しを取ってカウントを整えたが、このアウトローのストレートがみごとだ。指にしっかりとかかった、湯浅投手らしいアツアツの球だった。

 そして最後も威力ある151キロでバットをへし折り、セカンドゴロに仕留めた。

 要した球数は12球。あっという間に三者凡退で仕事を終えた。マウンドから降りるときの湯浅投手の顔には、ホッとしたような充実感が満ちていた。

 また、一塁側ブルペンの若鯉投手陣が、羨望の眼差しで見入っていたのも印象的だった。今や球団を越えて、憧れられる存在になっていることがうかがえる。

最速は151キロ
最速は151キロ

■「力みたおした」と振り返る

 降板後の第一声は「力みました。力みたおしてた」だった。久々の登板だから無理もないのだろう。

 しかしその中で「感覚よく投げられたボールも何球かあった」と空振りを取ったストレートと、とくに最後の2球に手応えがあったという。

 「これから試合で投げていく中で、そういった感覚のよかったボールやフォームとかの確率を増やせるようにやっていければなと思います」。

 力んだことによりシュート回転したボールや、抜けたり引っかけたりしたフォークもあったが、それも今後は修正する。

 最速は151キロだった。「やっぱりシート(打撃での登板)よりは、出力も自然と上がってます」と振り返り、今後は力感のないフォームでさらに出力を上げていく。

“いつものやつ”その①
“いつものやつ”その①

■不安も払拭

 「脇腹も正直、試合の出力で大丈夫かなって。ブルペンやシートでは全然大丈夫でも、試合で投げてみないとわからないから」と、まったく不安がなかったわけではない。しかし、「そういったものも自分で感じながら腕振って投げられて、今、問題ないんで。明日も問題ないと思う」と、不安も払拭できた。

 「ちょっとでも違和感とかあったら無理せずにやりたいけど、今のところ本当に何もなく、順調にきている」。

 次も予定どおり投げられそうだ。ただ、「再発しないこと、まだケガとかしないことが一番なんで」と、状態の確認はしっかりと行う。

“いつものやつ”その②
“いつものやつ”その②

■アツアツピッチングで恩返し

 “照準”はもちろん、ポストシーズンに定めている。今後はそこに向かって「結果を出してアピールする。しっかり準備したいと思います」と力を込める。過去の名前や実績ではなく、今の実戦での結果で「中継ぎ枠」の競争を勝ち抜く覚悟だ。

 和田豊ファーム監督も「湯浅の投球からすれば、もうちょっと上がっていくだろう」と期待を込め、近く練習試合やシートなどで「連投をさせようかなと思っている」とのプランを明かした。

 「試合で投げられるのは楽しい」と笑顔を見せるとともに、「リハビリでいろんな方にお世話になったんで、そこは感謝しつつ、少しでも恩返しというか、結果で示していければなって思います」と自身の喜びだけでなく、周りへの感謝の気持ちを忘れないのもまた、いつもの湯浅投手だ。

 もちろんチームに対しても、しっかりとピッチングで返していくつもりだ。

 ポストシーズンでのアツアツなピッチングを、タイガースファンは首を長くして待っている。

“いつものやつ”その③
“いつものやつ”その③

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「試合で投げられるのは楽しい」と笑顔が弾ける
「試合で投げられるのは楽しい」と笑顔が弾ける

(撮影:筆者)

フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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