今日24歳の誕生日。湯浅京己が同期・近本光司のシート打撃登板で順調な回復ぶり(阪神タイガース)
■オールスター出場を泣く泣く辞退
阪神タイガース・湯浅京己投手の人気は今年も健在だ。オールスターゲーム・ファン投票の「抑え投手」部門でトップの票(506,947票)を集めた。昨年の「中継ぎ投手」部門でのファン投票選出に続く2年連続の快挙である。
しかし、痛めた右前腕は回復途上にあって、まだ試合で投げられる状態になく、出場辞退せざるを得なかった。
「ファン投票で選んでいただいて本当に嬉しかったですし、その中で辞退となってしまい、楽しみにしていただいていたファンのみなさんに申し訳ない思いです。チームのためにまた全力で腕を振れるように、しっかり自分のコンディションを上げていきます。引き続き応援よろしくお願いします」。
断腸の思いで決断し、7月10日、発表するに至った。
■シート打撃に登板
懸命のリハビリの成果もあり、現在は順調に復帰に向かっている。同15日には故障後初めてシート打撃にも登板した。右肋骨骨折により登録抹消中の近本光司選手と、打ち込みのために遠征に帯同せず残留しているルーキー・野口恭祐選手を相手に、ストレート、フォーク、縦スラなど30球を投げた。
《結果》
VS 近本選手
1打席目⇒2-2からの6球目を左前打
2打席目⇒1-2からの4球目を遊ゴロ
3打席目⇒3-2からの11球目を左飛
VS 野口選手
1打席目⇒1-2からの7球目を投ゴロ
2打席目⇒1-0からの2球目を捕邪飛
「怖さとか不安なく投げられた。バッターに投げられてよかったかなと思います」。
終了後、充実感が顔に表れていた。さらに「まっすぐの強さをもっと出したいと思うので、もうちょっと状態を上げられるようにやっていきたい」と前を向いた。
■近本光司選手の打席
タイミング的に近本選手の初屋外打撃に投げることになったが、「めっちゃ気ぃ遣ったっす。怖すぎる。なんかイヤじゃないですか。当てなくても、もしなんかあったら」と、正直な心情を打ち明ける。ボールが内に入ったときには「まじで怖かった」と振り返った。
気心の知れた同期入団の近本選手とは、シート前後で話をするシーンも見られた。「ちかさんとは前から、まっすぐのこととかけっこう話したりしている」と言い、二人での会話から試したボールも1球あったと明かす。しかし、「ちかさんだから、あえて投げた」というそのボールが、やや内に抜けたのだ。
球種の詳細は「ノーコメント(笑)」とはぐらかしたが、もしや今後、使えるボールとして育てていくのか。実戦復帰したときの湯浅投手の球種にも注目したい。
■納得の第一歩
球速表示はなく、チームで計測した数字も明かさなかったが、どうやら納得の数字が出ていたようだ。いや、球速よりも、対バッターに投げられたことが大きな前進なのだ。
空振りは近本選手からフォークで奪った1球だけだったが、それも「まっすぐの強さとか出していけば、自然と増えてくると思う」とし、「今日はほんとに久しぶりやし、初めてのバッターだったので、別に空振りというよりは、怖さとか不安なく投げられれば一番いいなと思った」と、まずは現時点での自身の投球に及第点を与えていた。
■次のステップは…?
今後も「段階を踏んで」進めていく。「次はただ投げたいボールを投げるんじゃなくて、配球とか考えながら試合を意識しながらやれれば」と、“次回登板”を見据えた。
それがシートになるのか、ゲームになるのか…。
ウエスタン・リーグのゲームは25日(福岡ソフトバンクホークス戦 @鳴尾浜球場)までなく、週末土日には独立・日本海リーグとの練習試合が組まれている(22日・対石川ミリオンスターズ戦、23日・富山GRNサンダーバーズ戦)。
はたして古巣の富山相手に投げるのか。古巣とはいっても在籍時に所属していたメンバーは誰もいないのだが。
登板するかどうかは未定だが、いずれにしろゲーム復帰はそう遠くないだろう。また1軍の舞台でアツアツなピッチングが見られる日が待ち遠しい。
■Happy Birthday
今日7月17日、湯浅投手は24歳の誕生日を迎えた。毎年、自身の誕生日には必ず母・衣子さんに「産んでくれてありがとう」とメッセージを送る。常に感謝の気持ちをもち、それをきちんと言葉に表すことができる青年だ。
24歳を前に、湯浅投手は熱い思いを自らの言葉で記した。
「何か1つでも少しでもいいので、23歳の自分を超えられるようにしたいです!
大きく変えることはできなくても、1年1年少しずつ自分をブラッシュアップしていくことで、未来に繋げていきたいです!
両親が自分の名前に込めてくれた想いを現実にできるように、『己の京を築けるように』、一歩一歩進んでいけたらと思っています!」
湯浅投手にとって、新しい年がさらに実り多きものとなるよう願ってやまない。
(写真撮影はすべて筆者)