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阪神・湯浅京己、シート登板で最速150キロ。打者6人にパーフェクト投球!いよいよ実戦復帰へ

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
シート打撃に登板して4つの三振を奪った湯浅京己

■シート打撃に登板

 マウンドに上がるとき、本当に嬉しそうな顔をする。ケガ明けだから、なおさらだ。

 阪神タイガース湯浅京己投手は9月28日、ゲームに復帰する前の確認となるシート打撃に、負傷後、初登板した。

 今季は3度、負傷による登録抹消を経験した。3度目の今回は7月30日に左脇腹を痛めた。連投テストに臨み、優勝に向かって戦うチームの力になれると意気込んだ矢先のことだった。

 しかし、なってしまったものはどうしようもない。気持ちを切り替え、悔しさを噛みしめながらも、再発しないようじっくりとリハビリを行ってきた。

 そしていよいよ、ゲーム復帰も視野に入ったシート打撃での登板だ。そりゃ、表情もほころぶだろう。

湯浅京己
湯浅京己

■登板結果

植田海…フルカウントからの6球目、148キロのストレートで見逃し三振

戸井零士…見逃し、空振りで追い込み、1球ボールをはさんだ4球目、139キロのフォークで空振り三振

高寺望夢…見逃し、空振り、空振りで3球三振。結果球は148キロ。

遠藤成…カウント2-1からの4球目、135キロのフォークで左飛。

中川勇斗…カウント1-1から3球目、146キロのストレートで左飛。

戸井零士…カウント1-2からの4球目はこの日の最速150キロ。空振り三振で締めた。

 結果、打者6人をパーフェクト、3連続を含む4奪三振で終えた。最速も鳴尾浜球場のガン表示ではなく、トラックマンで150キロを計測した。

「150キロ出しちゃった(笑)」湯浅京己
「150キロ出しちゃった(笑)」湯浅京己

■問題なく投げられた

 投げ終えた湯浅投手は「しっかりボールも指にかかって、感覚よく、状態も問題なく投げられたんで、まずまずだったんじゃないですかね」と充実感を漂わせていた。

 トラックマンでの150キロには「出しちゃった」とニヤリ。「出しにいったのか」という問いに、笑ってうなずいた。「最後はまっすぐで終わりたかったから」とサインに首を振っての仕上げの1球だった。

 まずは患部に問題なく、実戦形式の登板ができたことがなによりだ。

 「出力的にもやっぱブルペンよりシート、シートより試合って上がってくと思うんで、そこは試合に入っていく中で確認しながら、出力や精度を上げていければなって思います」。

 実際の試合ではアドレナリンの分泌量も違う。当然、出力も上がる。

 「6打者だったんで、ちょっとクイックでも投げておきたい」とクイック投球も試し、しっかりと実戦への備えも行った。

 負傷時、「縦スラを投げたとき、左脇腹にきた」と話していたが、縦のスライダーも怖さなく投げられた。そもそも「縦スラを投げたから痛めた」わけではなく、たまたまそのタイミングだったと話す。

 今後は再発をしないよう確認をしながら、状態を上げていく。

 「試合の中での出力とか、バッターの反応を見ながら、マウンド上でいろいろ感じながら投げたいなと思っています」。

 そう言って来たるべき実戦に思いを馳せ、目を輝かせた。

登板前、キャッチャーとサインの確認。さて、キャッチャーは…?
登板前、キャッチャーとサインの確認。さて、キャッチャーは…?

■バッテリーを組んだのは片山雄哉

 湯浅投手の球を受けたのは片山雄哉捕手だ。久々の“独立リーグバッテリー”だった。湯浅投手は「投げやすかったです。あ、ほかの人が投げにくいっていうわけじゃないですよ(笑)。でも、片山さんはやっぱ独立時代から知っているし、同期で気心も知れているから」と、呼吸が合うところを見せていた。

 片山捕手も「やっぱ“落ちない”よね~。ホップっていうか、キャッチャーミットに入るまでそのまま落ちきらない、みたいなね。まぁ(試合ほど)アドレナリンが出ていないから100%じゃないけど、それでもやっぱいいボール。久々に受けて思う」とテンションが高かった。

 「やっぱ質が違う、同じスピードでも。角度も違うし、ボールの強さが違う」。

 べた褒めだった。

 旧知の間柄だけに、湯浅投手の思いもくみ取りながらリードした。

 「ケガ明けで『まっすぐメインで』って本人も言ってたから1人目はまっすぐ(のサイン)しか出さなかったけど、そのあと感覚がよくなっていくにつれて『そろそろ変化球を投げたそうだな』と思って出したら、『あ、それです、それです』みたいな顔してうなずいてたからね(笑)。そういうのはピッチャーの表情や様子を見ながら出してあげるのが、こっちの仕事なんで」。

 ナイスバッテリーだ。実戦でも見たい。

“独立リーグバッテリー”の相方は片山雄哉
“独立リーグバッテリー”の相方は片山雄哉

■チームメイトもビックリのボール

 また、対戦した植田海選手は「はっや!って思った」と目をまん丸にしていた。

 植田選手もまた、右ふくらはぎの内側を痛めてリハビリを続け、ようやく前日の練習試合で復帰したばかりだった。

 「昨日も打席に立ったけど、同じ148キロでも球の質が全然違う!」と、あらためて侍右腕のストレートの質の高さにビックリしたという。

植田海はストレートに見逃し三振
植田海はストレートに見逃し三振

 高校を卒業して1年目のルーキー、戸井零士選手も「まっすぐ、えぐいっすね!」と、こちらも驚きの表情だ。

 「初めて(打席に立って)湯浅さんのボールを見ました!低めとか、ボールと思って見送ったらストライクで…。ホップする感じです」。

 これが一流のプロの球なのかと、感嘆していた。

ルーキー・戸井零士も2三振
ルーキー・戸井零士も2三振

■いよいよ実戦復帰へ

 終了後の和田豊監督は、報道陣に問われる前に「順調っ!」と笑顔を見せ、「明日(29日)の様子を見てから。明日からの広島3連戦のどこかで(投げさせる)」と明言した。

 今日からの広島東洋カープとの3連戦(鳴尾浜球場)はウエスタン・リーグでの今季ラストカードだ。今日の状態を確認し、問題がなければ30日(土)か10月1日(日)に登板することになる。

ロジンをぽんぽん
ロジンをぽんぽん

■チームの力になる

 戦線離脱して以降、リリーフ陣の疲労をずっと気にかけていた。最後にリーグ優勝の1ピースになれなかった申し訳なさと悔しさも抱えてきた。「少しでも力になりたい」と口癖のように繰り返し、リーグ優勝後のビールかけではさらにその思いを強くした。

 これから始まるポストシーズン。クライマックスシリーズと日本シリーズで、湯浅京己はチームの大きな力になる。

ポストシーズンへ意欲を燃やす湯浅京己
ポストシーズンへ意欲を燃やす湯浅京己

(撮影はすべて筆者)

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フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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