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知り合ったきっかけ別「結婚までの交際期間中央値」でわかる結婚の旬のタイミングとは?

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:アフロ)

既婚者の交際期間中央値は?

実際に結婚した夫婦は、その交際開始から結婚までどれくらいの期間があるかについては以前、内閣府の平成31年「少子化社会対策に関する意識調査」のデータを元に記事化している(参照→世の中の夫婦は交際何年で結婚しているか?平均値ではなく中央値で見る結婚決断の分岐点)。平均値ではなく中央値を計算した。平均値だと、一部交際期間の長い対象者がいるだけで値が上振れしてしまうためである。

それによれば、夫は3.12年、妻は2.89年であった。

とはいえ、これはあくまで全体の数字である。

同じ結婚でも、その知り合ったきっかけ別に交際から結婚に至るまでの期間には差があるはずだ。しかし、残念ながら国の基幹統計(出生動向基本調査、人口動態調査など)には、知り合ったきっかけ別の交際期間を調査した例はない。

知り合ったきっかけ別交際期間

そこで、20-50代既婚者を対象とした私の調査から、知り合ったきっかけ別の結婚までの交際期間の中央値を算出してみる(知り合ってからの期間ではなく、あくまでお付き合いを始めた時期からの期間)。但し、この中には初婚だけではなく再婚も含む。また、交際期間が長すぎて、または、始まりが曖昧で覚えていないなども除いているため、前述内閣府の調査とは全体の交際期間は一致しない。

結果は以下の通りである。

(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久
(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久

もっとも結婚数が多い「職場」では、男1.96年、女2.01年と大体交際2年で結婚している。「友人の紹介」も「飲み会・合コン」での場合もほぼ一緒である。

交際期間が長いのは「学校」で、男4.16年、女4.95年だが、これはそもそも最初に付き合いだした時期が18-19歳など若いということも影響しているだろう。

婚活系とナンパきっかけの違い

婚活系の出会いは総じて短期決戦だ。

「婚活パーティー」は男1.38年、女1.33年「婚活アプリ」は男1.21年、女1.16年「結婚相談所」となると男0.85年、女0.80年「お見合い」に至っては男0.84年、女0.76年というスピード成婚が中央値となる。

これは、裏を返せば、たとえば「婚活アプリ」で出会って付き合い始めたのに2年以上も結婚の話にならないというのはいろいろと相手を疑った方がよいかもしれない。

提供:イメージマート

また、「学校」以外では「ナンパ」の場合の交際期間も長いようだ。特に、女性の場合3年近く待たされている。女性から男性に声をかける「逆ナン」もあるが、この場合大抵は男性からの声掛けによるだろう。

街や旅先などでのナンパが成功するのは基本恋愛強者男性である。が、ナンパ即ワンナイトラブがあったからといって、恋愛強者男性にとってそれが交際スタートであるとは限らない。一方、女性の場合はナンパされる受け身側で、なんらかの既成事実があれば「付き合っている」と思ってしまう場合もあるだろう。

しかし、ナンパなどのきっかけの場合は、当然自分以外にも声をたくさん掛けていると見るのが妥当で、いってみれば交際の「選択権」は恋愛強者男性側にあると言える。

一方で、婚活系は、非常に微差であるがすべて男性の交際期間が長く、「交際していると思っているのは男性だけ」という面もある。婚活系の出会いにおいては、選択権は女性にあるのだろう。

現在相手もいないが、「1日でも早く結婚したい」と思っている場合は、「結婚相談所」か「お見合い」に頼った方がいいかもしれない。0.8年=約10ヶ月の短期決戦で半分が結婚している。その場合は、むしろ仲人選びに慎重になった方がいいだろう。少なくとも、自分の婚活を宣伝や儲けのネタにしようとするようなところは避けた方がいい。

恋愛感情は3年で冷める

また、交際相手が現在いるにもかかわらず、「まだ結婚するつもりはない」と思っている独身男女も、これらのきっかけ別の中央値を参考にしていただいて、「交際→結婚」までには旬のタイミングがあるということを念頭に置くことも重要だろう。これらのデータはあくまで、結果的に結婚した夫婦のそれである。長く交際しても結婚に至らないケースは多々ある。

特に受け身がちな女性の場合「相手のプロポーズを待っていたら永遠に結婚できない」という状況にもなりかねない(参照→結婚は女のビジネス。男にまかせていたらいつまでも結婚できない理由)。

ワインや肉のように熟成させればよいというものではない。むしろ3年で色あせてしまう。

写真:アフロ

人類学者ヘレン・フィッシャーは著書『愛はなぜ終わるのか』で、「多くの場合において、愛は3年程度で終わってしまう」と述べている。

「え?じゃあ、交際2年で結婚しても、結婚して1年後には冷めてしまうじゃないか」と思うかもしれないが、結婚というある意味の外的・物理的縛りによって恋愛感情ではなく信頼感情で結び付いていくのが結婚というものかもしれない。でなければ10年も20年も続かない。

恋愛と結婚、それぞれを継続させる心のメカニズムは別物なのだ。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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