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芸能人の年の差婚はいつも話題になるが、実際一般人の結婚の場合「何歳までの年の差」が限界?

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:アフロ)

18歳年の差婚

昨日、お笑い芸人のハライチ岩井勇気さんとタレント奥森皐月さんとの結婚が報じられた。岩井さん37歳で奥森さん19歳ということで「18歳の年の差婚」としてネット上でも大きな話題になっていた。ちなみに、同じ18歳差婚といえば、お笑い芸人の濱口優さんとタレントの南明奈さんも18歳差であった。

芸能人の年の差婚については、その話題性から多く取り上げられるので「年の差婚は少なくない」と思われるかもしれないが、あくまでそれは芸能人の話だからである。「俺にもワンチャンあるかも…」という淡い期待を抱くのは自由だが、一般人において、年の差婚はそれほど多くはない。

むしろ、以前記事にも書いたが(グラフ再掲)、今の日本で婚姻が減少しているのは、ほぼ「夫年上婚」の減少である。言い換えれば、婚姻数の減少とは、かつて多かった「年の差婚を含む夫年上婚」が減ったためだと言える。

一部、メディアの報道などで「同年齢婚や妻年上婚が増えている」などと言われることがあるが、それは間違いである。全体の構成比で見れば、確かに増えてはいるが、そもそも全体の婚姻数自体が激減しているからであり、決して「同年齢婚や妻年上婚が増えている」わけではない。

2022年の年の差婚

実際、今の結婚はどれくらいの年の差で結婚しているのだろうか。

2022年の人口動態調査から、各才の男女の年齢別組み合わせのデータをもとに再集計したものが以下である。

初婚同士で見ると、もっとも多いのが「夫1-5歳年上婚」である。初婚同士の約41%を占める。続いて多いのが「同年齢婚」で22%、それとほぼ同程度に三番目に多いのが、意外かもしれないが「妻1-5歳年上婚」である。

しかし、初婚同士でみると、「夫6歳以上の年上婚」は少なくなり、11歳以上になるとわずか3%程度となる。

一方で、初婚同士ではなく、いずれかが再婚だった場合の組み合わせを見ても、もっとも多いのは「夫1-5歳年上婚」であるが、それ以外は微妙に構成比が異なる。

「再婚同士」および「夫初婚妻再婚」の場合は、妻が年上婚の比率が高まる。特に、初婚の夫と再婚する妻の場合、「妻1-5歳年上婚」が「夫1-5歳年上婚」とほぼ変わらないレベルで2番目となっている。

逆に、「夫再婚妻初婚」の場合は、全体的に夫年上婚の比率が高まり、11歳以上の年の差婚の割合も25%に達する。男女とも再婚者は年下を選びがちだが、特に男性の方がその傾向が強いと言えるだろう。

写真:アフロ

有体に言えば、離婚再婚を繰り返す「時間差一夫多妻男」というのは一定数存在していて、彼らは再婚のたびに若い初婚の女性と年の差再婚をしていく。そのあおりを受けて、生涯一度も結婚できない未婚男か量産されていき、その規模は430万人にも膨れ上がっているのだ。

未婚男性の「男余り430万人」の実態~もはや若者ではなくおじさん余りへ

結婚の狙い目の年の差とは?

そういった一部の例外を除けば、特に初婚同士の結婚は、大体同年齢±5歳以内での縁がほとんどなので、冒頭の岩井さんの18歳差婚は例外中の例外なのである。

ちなみに、大きなお世話だが、18歳以上の年下の妻と初婚で、なおかつ、相手の妻の年齢が19歳以下という事例は、2022年実績において0.02%である。5000人に1人という奇跡の縁である。

繰り返すが、統計的には同年齢±5歳以内までの初婚が、初婚全体の85%を占めるわけで、未婚男女のうち結婚したいと思っている人は、年下でも年上でもこの5歳差までが限界点であることを念頭に置いた方がいいだろう。

たとえば、現在35歳の未婚男性が結婚したいのであれば30歳以上の相手から選ぶほうがよい。間違えても20代前半などという希望を持ってはいけないのだ。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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