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40代の未婚男性が20代未婚女性と結婚できる確率は何%か?

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:アフロ)

芸能人の「年の差婚」は話題になるが…

お笑いコンビ・NON STYLEの井上裕介さんが、一般女性との結婚を発表したそうである。

42歳の井上さんに対してお相手はニュースなどによれば20代前半の女性とのことだが、こうしたニュースが出るたびに「年の差婚」が話題になり、40歳過ぎた未婚男性の中には「俺もワンチャンあるかも」と期待に胸を膨らませた人もいるかもしれない。

実際40代の未婚男性は20代の女性とどれくらい結婚できているのだろうか。

2020年の人口動態調査によれば、全国で40-44歳の未婚男性が29歳以下の未婚女性と初婚した数はたったの2219組である。24歳以下に至ってはわずか454組しかいない。

しかも、この数は2000年以降の推移を見ても下がり続けている。

各才別に24歳以下の女性と初婚した未婚男性の数を示したのが以下のグラフだが、むしろ2020年より2010年の方が、2010年より2000年の方が結婚している数は多い。

対未婚男性結婚確率は?

全体の婚姻数が減っているのだからそうなるのだろうと思うかもれないが、では、全体の未婚人口に対する24歳以下女性と初婚できる確率を割り出して比較してみよう。

つまり、「40代中年未婚男性が20代前半女性と結婚できる確率」である。

それによれば、1年あたり2000年は0.11%、2010年は0.05%、2020年は0.03%と割合で見ても下がっている。言い換えると、2000年は1000人に1人、2010年は2000人に1人、2020は3000人に1人しか若い女性と結婚した40代未婚男性はいないということなのである。

写真:イメージマート

かなりのハードモードである。これは40代前半の男性の数字だが、40代後半は当然ながらもっと低い。もちろん、分母は未婚人口総数なので、この中には「結婚を希望しない」選択的非婚も含まれているが、それにしても低いことは確かである。

要するに、40代の中年未婚男性が20代の若い女性と結婚したいと願っても、それはとても難しいものだと理解した方がいい。マッチングアプリで年齢で若い子を検索してもほぼ無理なのである。結婚相談所で40歳以上の未婚男性が仲人に「20代を希望します」と言っても不可能なのである。

一説によれば、ハリウッド俳優のレオナルド・ディカプリオ(今年48歳)は、25歳以上の女性とは付き合えないことで有名で、実際今まで付き合った女性8人とも25歳になった時には別れている。それの是非はともかく、それができるのはディカプリオだからであって、一般人には到底できない。

夫年上婚は激減

そもそも、夫が年上の結婚そのものが激減している。

日本でもっとも婚姻数が多かった1970年代と比較すると夫年上婚は62万組から15.7万組へと75%も減少している。同い年婚や妻年上婚は実数としてほぼ変化ないので、婚姻減は夫年上婚によるものだと断言できる。

これは、「おじさんがモテなくなった」わけではない。元々、モテてはいない。1970年代の第二次ベビーブーム期は同時に結婚ブーム期でもあった。その結婚を支えていたのは、伝統的なお見合いと職場結婚という社会的お膳立てシステムである(→日本の結婚は30年前にはすでに詰んでいた。失われた社会的システム)。

つまり、このシステムが機能していたから、結果として年上の男が結婚できたのであって、決して昔の男が若い子と結婚できるほど恋愛強者だったわけではない。

逆にいえば、そういったお膳立てのない世界においては、年の離れたおじさんと結婚するという動機もなければ、機会すらないのである。

写真:アフロ

男の結婚にも年齢制限がある

とはいえ、世の中は晩婚化といわれているのだから、40歳になったからといって諦める必要はないと思うかもしれないが、残念ながら結婚には限界年齢というものがある。

こちらの記事(「結婚したい時に縁はなし」結婚には見えざる年齢制限がある)で書いたが、結婚したい人口に対する達成率を計算すると、40歳以上では1割台に下がってしまう。結婚適齢期は女性だけに該当するものと思っている男性は認識を改めた方がいい。男でも40歳を過ぎると結婚は厳しくなる。

40歳以降で結婚している男性というのはそもそももっと若い時代に相手と出会っているパターンが多い。40歳からスタートしていたのでは、とても間に合わないということである。

とはいえ、もはや40代に到達した未婚男性がどうしても結婚したいと望むのであれば、せめて「20代の若い子がいいです」なんて希望は封印した方がいいだろう。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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