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学歴別独身男女の「恋人いる率」比較で目立つ、なぜか「恋人ができない」女子大卒女性

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:イメージマート)

学歴によって「恋人いる率」は変わる?

私は、常々「恋愛強者3割の法則」といっているが、その法則通り、いつの時代で調査しても「独身者の恋人がいる割合」は、多少の上下はあるにしろ大体3割程度である。そして、男性よりも女性の方が「恋人がいる割合」が1割程度多い傾向であることも一緒だ。少なくとも出生動向基本調査の統計が残る1980年代から40年間変わっていない。

これは、単純に独身男女比率が男の方が多いこともあるが、一部の恋愛強者男性による二股以上恋愛や既婚男性と付き合っている女性が一定数いることを示唆する。

「恋人がいる割合」の1980年代からの長期推移はこちら

「少子化は恋愛力の低下?」恋愛力を高めても、むしろ出生率は下がる

さて、その上で、「恋人ができるかどうか」は学歴によって影響があるのだろうか?

2015年の出生動向基本調査から学歴別の「恋人がいる割合(対象18-34歳独身男女)」から見てみたい(最新の2021年調査では学歴別の「恋人有無率」の結果は公開されていない)。

学歴別「恋人がいる割合」

まず、男性を見ると、もっとも割合が低いのは中卒で11%、もっとも高いのが大卒以上で25%である。学歴と収入とは強い正の相関があるので、「学歴がないと稼げない→金がないから恋愛できない・恋愛する余裕がない」という状況を如実にあらわしているといえる。

一方、女性は、すべてにおいて男性を上回っているが、中卒から大卒まで、特に学歴によって大きな違いはない。その中で、唯一少ないのが4年制女子大卒の場合だけである。同じ4年制大学でも共学や短大と比べても5ポイントもの差がある。

たかが5ポイント、されど5ポイント。

これは在学中の話ではなく、卒業後の話である。別に恋愛していることが良いという話をしているのではないが、女子大に行くとその後恋愛ができなくなるということはあるのだろうか。

写真:イメージマート

大卒の女性の生涯未婚率

女子大かどうかまでは判別できないが、少なくとも大卒女性の生涯未婚率が高いのは事実である。2020年の国勢調査の段階でも、大卒女性の生涯未婚率は、大卒男性と同じである。

いいかえれば、学歴別だけで見れば、女性は大学に行くと結婚率が下がるのである。

大卒女性の生涯未婚率は高いが、それ以上に深刻な高卒男性の「結婚できない問題」

だからといって「女性が大学にいけば結婚できなくなる」とまでは言えないが、文科省の学校基本調査によれば、2021年の女性の大学進学率(4年制大学・学部への進学率・過年度高卒者等を含む。短大除く)は51.7%で、1954年の統計開始以降過去最高となっている。同時に2020年の女性の生涯未婚率も18.7%で過去最高。

とはいえ、生涯未婚率は50歳時の未婚率だから、今大学進学している18歳の女性と同列に見ることはできない。約30年前の18歳の話だからだ。

しかし、では30年前の大学進学率と現在の生涯未婚率とを比較してみると、大学進学率が15%程度でその世代の生涯未婚率と近しい。それどころか、それまでの時系列で、女性の大学進学率と彼女たちの30年後の生涯未婚率との推移を見ると、その相関係数は実に実に0.8648と最大値の1に近いきわめて強い正の相関がある。

つまり、女性の4年制大学進学率があがると女性の生涯未婚率があがるということだ。

100年続いた日本の皆婚時代の終焉。女性の大学進学率と生涯未婚率との奇妙な一致

女子大→共学が増えている

その上で再度、前掲したグラフを見ると、「恋人がいない割合」がもっとも高いのは女子大卒であり、共学の大卒はむしろ女子大群より「恋人がいる」わけで、そうなると「大卒女性全体の未婚率を高めていた元凶は女子大にあり」という見方もできるだろう。もちろん、これだけで結論付けできるものではないので、別途深掘りは必要だろうが。

最近、少子化の影響もあり、元女子大や女子短大が共学に変わる事例も増えている。高校も男子校だったところが共学になっている例も多い。

写真:アフロ

ちなみに、個人的であるが、私の出身高校も通学時は男子校だったのだが、いつの間にか共学に変わっていた。

今後、女子大の共学化がますます進めば、女性の未婚率の増加は食い止められるのだろうか?

2020年国勢調査における学歴別の未婚率を見ると、今はまだ男は低学歴ほど未婚、女は高学歴ほど未婚なのだが、低学歴未婚問題は教育の問題ではなく経済の問題であり、親の所得格差がそのまま世襲されていく問題でもある。

今後は大卒以外の男性の結婚できない問題がさらに深刻化するだろうと思っている。それに伴い、今はまだ低い高卒女性の未婚率もあがり、結局男女とも低学歴層全体の未婚化が進むだろう。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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