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国際社会の一員として難民問題にどう対応していくか?── 米国より「世界難民の日」に寄せて

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
「世界難民の日」を紹介する屋外イベント。(c)Kasumi Abe

6月20日は、世界難民の日(World Refugee Day)だ。アメリカ各地でも、難民の受け入れやサポートに関する啓蒙イベントが行われた。

紛争などにより、アフガニスタンやウクライナなど、今でも世界中では約1億1000万人が祖国を追われている。

バイデン大統領がこの日出した声明によると、アメリカは今年に引き続き来年も、この30年間で達成できていない最多規模の12万5000人を難民として受け入れる目標を立てた。

アメリカの難民救済団体、インターナショナル・レスキュー・コミッティーにて。(c)Kasumi Abe
アメリカの難民救済団体、インターナショナル・レスキュー・コミッティーにて。(c)Kasumi Abe

宗教的弾圧や迫害から逃れてきた人々によって建国されたアメリカは、歴史的に難民の受け入れ(第三国定住)で世界をリードしていた。再定住プログラムが開始した1980年、受け入れ数は20万7000人にも上った。しかしトランプ政権以降、受け入れ数は大幅に減少し、2020年は約1万2000人まで落ち込んでいる。(参照

難民と言えば最近日本でも、日本が先進国の中で難民の受け入れに厳しい国だとして話題になっている。しかし世界中で紛争がなくならない限り、難民問題は国際社会の中で手を取り合って取り組まなければならない共通の課題である。

日本の難民認定数は?

2022年「3,772人が難民申請を行い、認定されたのは202人。難民認定手続の結果、在留を認められた外国人はトータルで1962人」(資料1

難民認定数の各国比較(資料2

アメリカがさらに推し進めようとしている難民保護とはどのようなものだろうか?また、難民は新天地アメリカでどのような生活をしているのか?これらの疑問を解明すべく、筆者はアメリカで難民救済を進める団体を訪問した。次回以降、アメリカの受け入れの現状、そしてアメリカに到着した難民の声を、現地から報告する。

難民が再定住後に働いている農場にて。(c)Kasumi Abe
難民が再定住後に働いている農場にて。(c)Kasumi Abe

(つづく)

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(Text and photos by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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