伊藤英明が語る演技の醍醐味「経験に勝るものはない」
新選組・芹沢鴨役に挑戦「監督は当て書きしたな(笑)」
伊藤は最新作「燃えよ剣」(原田眞人監督・15日公開)で新選組の初代筆頭局長である芹沢鴨を演じているが、これもまた「このワンカットを観たい」と思わせる印象に残る芝居を見せている。 「この映画で描かれる芹沢鴨は酒飲みで女好きでという…これ絶対監督は当て書き(その役を演じる俳優をあらかじめ決めて脚本を書くこと)したな、と(笑)」 ジョークを飛ばして大笑いする伊藤だが、役作りをしていく過程でとても魅力のある人物であることに気づいたという。 「まずは人物を知るためにいろんな資料を読むところから始まって、新選組の腕に覚えがある剣豪たちがぐでんぐでんに酔わせて闇討ちをしなければいけないほど強かった人物ですから、出来る限りの所作をやりました。出生が謎めいていたり、演じるにあたってはものすごく魅力的な人物で、酒を飲まないと人と関われないという繊細さも持ち合わせているんですよね。単純に『僕でいいのか?』っていう気持ちもありましたがお話をいただいた時から嬉しかったし、ものすごくやりがいがありました。やはり岡田准一さん演じる土方歳三を凌ぐ剣豪ということで、『あの岡田さんを相手に大丈夫か?』っていうプレッシャーもありましたけど」 芹沢鴨は「力の剣法」と言われる神道無念流の免許皆伝という剣術の実力者だ。その腕前は新選組でもトップクラスだったのではないかと言われている。殺陣のアクションにも苦心したのではないかと水を向けると、大きくうなづいた。 「撮っていて、どうしても腑に落ちない部分が出てきてしまうんです。どうもうまく出来ていない気がする、どうしたら強く大きく見えるのだろうかと。そこにはすごくこだわって現場でも時間をかけました。監督には本当に助けていただきましたし、もうちょっとここをこだわったほうが芹沢鴨が強く見えるんじゃないかと土方役の岡田さんもこだわってくださったんです。やっぱり僕自身にちゃんと技術が伴っていれば岡田さんはもっと自由に殺陣を出来たのかもしれないなって反省はあります。ただ、僕が変にプレッシャーに感じないように現場でていねいに、いいろいろと教えてくださったんですよ。すごくありがたかったですし、役を演じ切る大変さと覚悟を岡田さんから教わった気がします」