日本の俳優も続々出演 ネット配信が世界へ売り込むチャンスに
ネット配信の普及も手伝い日本人俳優が海外作品や世界配信のドラマなどで活躍する姿を見るチャンスが以前より増えてきた。映画「パラサイト半地下の家族」の米アカデミー賞作品賞受賞などこのところ韓国作品の高評価が目立つアジアだが、日本もネットの世界配信を舞台に存在感を発揮するチャンスは十分ありそうだ。
潤沢な資金力で日本上陸した米大手
「民放キー局はコロナ禍の影響を受け広告収入がふるわず苦戦が続いています。番組と番組の間に流れるスポット広告の落ち込みが目立つ状況です。ただしFODやHuluといった放送局やグループ会社が運営するネットの動画配信サービスに関連した収入は伸びているんですよ。皮肉なことにこれもコロナの影響による巣ごもり需要だといわれています。ただそれだけでは売上高の減少をカバーしきれないので、どの局も番組制作費を大幅にカットする傾向は今後も変わらないでしょう。ドラマも大きな影響を受けています」と話すのはスポーツ紙の40代男性記者。 そんな中で2015年に日本上陸を果たしたアメリカの配信サービス大手ネットフリックスは潤沢な資金を制作費や出演料、宣伝費などに注ぎ込みコンテンツを充実させ人気を獲得してきた。日本の実写ドラマ作品としては2019年にシーズン1、今年シーズン2(完結)と配信開始された山田孝之主演「全裸監督」が話題を呼び、昨年12月に配信開始された「今際の国のアリス」は山崎賢人、土屋太鳳のW主演でこれまでに世界1800万世帯が視聴したといわれる。 「新規会員数の伸びは減速していますが全世界の累計会員数が2億人を超え通期の売上高も2兆円規模と盛況ぶりは健在です。日本国内を見ても有料会員数は昨年500万人を突破し今年の第2四半期(4-6月)の新規会員数約150万人のうち約7割はアジア太平洋地域でした。日本もマーケットとして重視される中で日本人俳優の活躍の場も広がっていくと思います。ネトフリ作品のギャラは地上波の2倍~4倍といわれ、俳優側としては世界配信でハリウッドをはじめ海外に自分を売り込むチャンスでもあるし世界レベルの大規模な日本のコンテンツを作るという達成感も魅力でしょう」と分析するのはテレビ情報メディアの30代女性編集者だ。 10日に配信スタートしたメアリー・エリザベス・ウィンステッド主演「ケイト」は日本を舞台にしたアクションスリラーだが、ここでも國村隼、浅野忠信、MIYAVIといった海外作品への出演経験豊富な日本人俳優たちが主要キャストとして強い印象を残している。地上波ドラマにも作品へのアクセスのしやすさなど有料サービスにはない大きな魅力があるが、海外にアピールするチャンスとして世界同時配信という場は今後も伸びていきそうだ。 (写真と文・志和浩司)