私たちの生活にどう役立っている? ノーベル化学賞 過去の受賞研究
今年もノーベル賞の季節がやってきました。10月4日(日本時間)の「生理学・医学賞」を皮切りに「物理学賞」(5日)、「化学賞」(6日)と連日発表されます。 【図解】吉野氏が化学賞「リチウムイオン電池」研究の歴史がつなぐ50年後のノーベル賞 これに合わせて、日本科学未来館の科学コミュニケーター皆さんに3回連載で注目の研究や各賞の歴史を紹介してもらいます。最終回は「化学賞」の分野です。科学3賞の中でも、化学賞は近年、他分野とクロスオーバーすることも多く、対象範囲も幅広くて受賞研究の予想が難しいといわれています。これまでの化学賞の受賞研究を振り返りながら、私たちの生活にどう関わっているのかについてお伝えします。
「人類に貢献した人」に与えられるノーベル賞
今回はQ&A形式で、科学コミュニケーターの竹腰がお答えしていきます。ノーベル化学賞についてもとから知っていたあなたはもちろん、そんなに知らなかったというあなたも、明日からがちょっと楽しみになるようなお話をしたいと思います。 ――ノーベル賞の発表が始まっているね。そもそもどんな賞なの? 「ノーベル賞」という名前は、賞を創設したアルフレッド・ノーベル(1833~1896年)にちなんでいます。彼は遺言に、自分が遺すことになる財産についてこんなことを書き残しています。 “prizes to those who, during the preceding year, have conferred the greatest benefit to humankind”(筆者訳:「前の年に人類のために最も貢献した人に賞を与える」) 遺言には他に、国籍に関係なく賞を与えるという方針も書かれています。ノーベルさんの遺した財産を資産運用することで、毎年受賞者に贈る賞金を得ています。 ノーベルは各賞をどんな人に与えるかについても遺言を残していて、化学賞についてはこう書かれていました。 “one part to the person who made the most important chemical discovery or improvement“(筆者訳:「最も重要な化学の発見または改良を行なった人」)