餅を詰まらせて死なないためのポイント…もしもの時の「ハイムリック法」と「背部叩打法」とは
毎年、正月になると、餅による窒息事故が起きています。喉に詰まらせないようにするにはどうすればよいか、対処法をまとめました。 【図解】ペットボトルのふたはどう開けている? 開け方でわかるフレイルのサイン
過信しない
餅を喉に詰まらせるリスクが高いのは、高齢者と子どもです。一緒に食卓を囲む場合、餅は、あらかじめ食べやすい大きさに切っておき、食事の際は注視しましょう。 食べる前には、お茶や汁物を飲み、喉を潤しておくと詰まりにくくなります。千葉市立海浜病院救急科統括部長の本間洋輔さんは「高齢者は唾液が出にくくなったり、かむ力やのみ込む力が衰えていたりしています。自分は大丈夫だと思っても、油断はしないでほしいです」と呼びかけています。 〈餅を喉に詰まらせないためのポイント〉 ・食べる前にお茶や汁物を飲む ・餅は小さく切って、よくかむ ・「自分は大丈夫」と過信しない
詰まらせたら…
せき払いをする、せき込む、前のめりになる、顔色が悪い――といった様子が見られれば、窒息しかけている可能性があります。せきをさせて餅をはき出させるようにします。 それが無理そうであれば、すぐに119番通報した上で、以下の方法を実施します。 〈腹部突き上げ法(ハイムリック法)〉 餅を詰まらせた人の背後から両腕を回し、へそのあたりから上に突き上げます。この方法は、乳幼児や妊婦には実施できません。
〈背部 叩打(こうだ)法〉 手のひらの付け根で、背中の真ん中あたりを何回も強くたたきます。
本間さんは「窒息して意識がなくなってしまった場合は、心停止となっている可能性があります。119番通報をし、指示に従いながら胸骨圧迫(心臓マッサージ)などの救命措置を行ってほしい」と話しています。AED(自動体外式除細動器)も自宅近くの設置場所などから持ってきて、装着します。 〈胸骨圧迫のやり方〉 ・胸の真ん中辺りを、5センチ程度沈む強さで押す ・1分間に100~120回のペースで実施する
窒息死亡事故の43%は1月に集中
消費者庁が2018~19年の2年間について分析したところ、餅による窒息死亡事故の43%は1月に発生していて、特に正月三が日に集中しています。男性の死亡者数は女性の2.6倍です。 本間さんは「餅を詰まらせないためには、なるべく小さくしてよくかんで食べてほしいです」と呼びかけています。(読売新聞メディア局 利根川昌紀)