「超一瞬」のレーザー光が照らすノーベル賞研究 物理学賞
2020年のノーベル賞が10月5日(日本時間)の「生理学・医学賞」を皮切りに「物理学賞」(6日)、「化学賞」(7日)と連日発表されます。2018年は本庶佑氏(生理学・医学賞)、2019年には吉野彰氏(化学賞)が受賞し、3年連続で日本の研究が受賞するか注目が集まっています。 【画像】ノーベル賞研究支えた「ショウジョウバエ」生理学・医学賞 120年の歴史を持つノーベル賞ですが、受賞につながった研究には、それぞれに欠かせない要素があります。3回連載でお伝えする第2回は「物理学賞」。ノーベル賞研究においてレーザー光が果たした役割に迫ります。
アインシュタインの理論提唱から40年後に……
ライブ会場を彩るレーザー光線、プレゼンで使うレーザーポインター、なんだか気になるレーザー脱毛……。私たちの周りにはさまざまな「レーザー」があふれています。そんなレーザーができるまでに多くの研究者が関わってきたこと、そしてレーザーによって多くの研究分野が開拓されてきたことをご存じでしょうか。 今から約100年前の1917年、レーザーの基礎的な理論があのアインシュタインによって提唱されました。しかし、当時は著名な物理学者ですら「そんな装置できるわけない」と考えていたため、その理論はまったく注目されず、レーザーを作ろうとする人もほぼいませんでした。レーザーの原型がようやく発明されたのは、それから40年近くたった1954年。最初の生成装置は目には見えないマイクロ波だけを出すものでしたが、とても革新的でした。この発明を皮切りに、現在に至るまで多種多様なレーザーが編み出されてきました。 装置の進歩とともに、レーザー光が極めて特殊で面白い性質を持つことが段々分かってきました。すると今度は、レーザーを応用した研究が盛んに行われるようになりました。その中でノーベル賞受賞につながった研究は、なんと10個以上。もちろん、最初の発明に貢献したタウンズ、バソフ、プロホロフの3氏も1964年にノーベル物理学賞を受賞しています。 ノーベル賞を、そして科学を語る上で、レーザーは欠かせません。そんなレーザーが切り開いてきた世界の一端を見ていきましょう。