健康自慢の59歳、たまたま受けた大腸内視鏡検査で見つかった大腸がん…どんな人がなるかわからない
胃と腸の整え方
消化器内科医の松生恒夫さんが、豊富な診療経験を基に、胃や腸の整え方を紹介します。 【写真】のみ込んで検査 大腸用カプセルとは?
大腸がんによる死亡者は女性ではがん死のトップ、男性は3位ですから、最も気がかりながんのひとつです。日々の診療で大腸内視鏡検査をしていると、下血や腹痛など症状があってがんが見つかる方が多いのですが、何の兆候もなく、たまたま受けた検査で見つかる方もいます。見るからに健康そうな59歳男性の例を紹介します。
健診や人間ドックで異常の検出はなし
Tさんの自慢は59歳まで健診や人間ドックで異常値を指摘されたことがないことでした。身長170センチ、体重65キロは若いころから変わらず、便通も極めて良好。健診の優等生というだけではなく、健康の実感をお持ちでした。 そんなTさんの奥様が「便秘気味となり、便が細くなってきた」と来院されました。大腸がんの可能性がある症状として、「便が細くなる」と言われているので、気になったそうです。奥様の受診にTさんも一緒に来られ、「もう、60歳になるからあなたも一度受けてみたら」と勧められて、順番に大腸内視鏡検査を受けることになりました。
妻の受診に合わせて内視鏡検査、がん発見
57歳の奥様の方は、S状結腸に腸の内壁がへこむ憩室が多数、5ミリの小さなポリープが見つかりました。過形成ポリープという良性のもので、治療が必要な異常はありませんでした。 一方、Tさんの方は、上行結腸に10ミリのポリープがあり、切除して病理検査に出すと大腸がんと判明しました。病変を取り切れたので、これで治療も終わりです。Tさんは「まさか自分ががんだなんて、とても信じられません。早めに見つかって良かった」と話していました。 気づかずに放置すると、数年で進行したがんに移行してしまうことがあります。そうなると、大腸の一部を切除する手術が必要になってきます。本当に良かったと思います。
貧血から大腸がんが見つかることも
近年、大腸がんの発見につながるのは、検診で行われる便潜血反応検査で陽性となった人や、別の病気で血液検査を受け貧血を認めて、大腸内視鏡検査をして見つかるようなケースが多くなっています。大腸がんが大きくなると、腸の内部が狭くなって、出血することがあります。すると腹痛や便が細くなるといった排便の変化、下血による貧血が起こります。