なぜ2人のレジェンドは”18分間の熱トーク”を繰り広げたのか…小野伸二と中村俊輔が開幕対決直前に語り合ったもの
予定されていた10分の会見時間を、気がつけば8分近くもオーバーしていた。パソコンの画面越しに顔を合わせた2人のファンタジスタへの質問は尽きず、紡がれる言葉も必然的に弾んだからだ。 2021シーズンの開幕が今週末に迫った、明治安田生命J1リーグを戦う20チームの監督および代表選手一人によるオンライン記者会見第2日が24日に実施され、27日に札幌ドームで対峙する北海道コンサドーレ札幌と横浜FCから、日本サッカー界を代表するレジェンド、41歳の小野伸二と42歳の中村俊輔の両MFが“大トリ”を飾る形で出席した。 お互いをどのように見ているのか――。開幕カードが先行発表された1月12日を境に、よく聞かれるようになった質問に対する俊輔の答えが、2人への質疑応答が熱を帯びた理由を物語っていた、 「シンジは単純に自分のなかで一番上手い選手だと思っているし、ライバルという感じじゃない。昔の話をすればいっぱいあるのでここではやめておきますけど、対戦相手としても多分そんなにないし、味方同士でプレーした時間もそれほどないから、さらにこうやって年齢を重ねていって、またJ1で会えたら、というのはありました。そこでお互いにいいものが出せれば最高だな、という感じですね」 俊輔の記憶は正しかった。2人が敵味方として対峙したリーグ戦は、2017年9月9日までさかのぼる。札幌ドームで行われたJ1第25節。当時ジュビロ磐田に所属していた俊輔が先発フル出場し、札幌の一員になって4年目の小野が後半38分から途中出場していた。 プレーするカテゴリーの違いや、小野がオーストラリアのウェスタン・シドニー・ワンダラーズへ移籍していた期間に加えて、どちらかのコンディションが整わなかったすれ違いもあって、札幌対磐田よりも前に邂逅した一戦を探してくと実に2011年4月29日に行き着く。 同年3月11日に発生した、東日本大震災による中断から再開されて2戦目。日産スタジアムを舞台にしたJ1第8節で、横浜F・マリノスの俊輔と清水エスパルスの小野はそろって先発。後者がFW高原直泰との交代でベンチへ下がった後半31分まで、76分間にわたって競演した。 国際Aマッチの出場試合数で俊輔が「98」を、小野が「56」を数える日本代表でも、俊輔の述懐通りに共演は22試合にとどまっている。最初はトルシエジャパン時代の2000年2月13日。待望のデビューを果たした俊輔に対し、フランスワールドカップに抜擢されていた小野は5試合目だった。