震災10年目の節目にJ1ベガルタ仙台に復帰した手倉森監督の覚悟「タフに戦う今年の仙台をお見せする」
東日本大震災の発生から10年となる節目の年に監督業をスタートさせた愛着深い古巣に復帰した。しかも、開幕戦の相手が10年前と同じサンフレッチェ広島で、会場も同じエディオンスタジアム広島。ベガルタ仙台の手倉森誠監督(53)は、運命に導かれた使命をひしひしと感じている。 「自分としては久々にJ1に、古巣の仙台に戻ってきましたが、仙台にしてみれば東日本大震災から10年という、復興への節目の年でもある。あのころの(仙台)という、期待もされていると思う」 2021シーズンの開幕を今週末に控えたなかで23日に開催された、J120チームの監督および代表選手によるオンライン記者会見。仙台の監督を退任した2013シーズン以来、8年ぶりに臨むJ1での戦いへ、手倉森監督は新型コロナウイルス禍に見舞われた状況を踏まえながら熱く抱負を語った。 「コロナ禍の状況で延期もなく開催されることは、さまざまな方々の尽力があってのものだと思っています。世界中もそうですが、日本国民も窮屈な生活を強いられているなかで、人々の気持ちを活性化させられるのがスポーツなんだ、サッカーなんだ、Jリーグなんだと伝わるような戦いをしたい」 V・ファーレン長崎を率いた昨シーズン。2枠しかないJ1昇格争いを最後まで繰り広げながら徳島ヴォルティスとアビスパ福岡の後塵を拝し、3位が確定した直後の昨年12月18日に退任が発表された。そして、同20日の最終節を戦い終えた直後に仙台からのオファーが届いた。 初めてJ1の舞台で指揮を執った木山隆之前監督のもとで、仙台は昨シーズンを17位で終えていた。本来ならばJ2へ降格する順位だったが、新型コロナウイルス禍で設けられた降格なしという特例に救われた。しかし、ホームのユアテックスタジアム仙台では7分け10敗と、2013シーズンの大分トリニータ、2014シーズンの徳島に次ぐ「年間ホーム未勝利」という屈辱も味わわされた。 ピッチの外へ目を向ければ、前経営陣のもとで債務超過に陥るなどクラブの経営状態が悪化。追い打ちをかけるように、10月にはプライベートで不祥事を起こしたMF道渕諒平(現韓国2部・忠南牙山FC)が契約を解除された。さまざまな苦境に直面した古巣から届いたオファーを「天に導かれたものだと感じた」と受諾した指揮官は、昨年末に臨んだ就任会見でこんな言葉を口にしている。