激震!ホンダF1撤退の真相とレッドブルに与えた衝撃
ホンダが2日、2021年限りでF1参戦を終えることを発表、F1界を激震させた。その理由を八郷隆弘社長は、「2050年に向けて掲げたカーボン・ニュートラルの目標を達成するため」だと説明した。 カーボン・ニュートラルとは、企業の事業活動や国民の日常生活などから排出される温室効果ガスの全量を、温室効果ガスの削減活動に投資することなどにより埋め合わせるという考え方だ。 ホンダがこうした目標を掲げた背景には、195カ国が署名した2016年のパリ協定が大きく影響している。この協定では、世界共通の長期目標として2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求することが目標と定められ、政府から自動車のエンジンから排出されるCO2削減のため、自動車メーカーに対して厳しい平均排ガス目標が課せられた。 自動車メーカーはその目標達成のため、ガソリンを燃焼させて動力として使用する内燃機関(エンジン)から電気自動車(EV)の開発と生産・販売へとシフトし始めている。 例えば、ドイツのフォルクスワーゲンもまた、ホンダ同様、2050年までにカーボン・ニュートラルを目指すという目標を掲げている。 しかし、カーボン・ニュートラルを目指しているのは、ホンダやフォルクスワーゲンだけではない。現在、F1で6連覇を達成しているメルセデスは、2039年までに完全にカーボン・ニュートラルとなることを目標としている。またルノーの本社があるフランスは、2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を廃止し、2050年までにカーボン・ニュートラルを達成するという目標を政府が発表している。 さらにF1界自体が、昨年の11月に「2030年までにCO2排出量を段階的に削減してゆき、カーボン・ニュートラルを目指す」ことを発表。エンジンからのCO2排出量を削減するとともに燃焼効率を上げてエネルギーロスを少なくし、回生エネルギーを効率よく使用する『ネットゼロカーボン・ハイブリッド・パワーユニット』を目指すとしている。 つまり、F1活動を継続していてもカーボン・ニュートラルを目指すことは可能だった。むしろ、F1に参戦し、燃焼効率の高いF1のパワーユニットを開発し続けることが、カーボン・ニュートラルへの近道だったとも言える。 にもかかわらず、ホンダが「DNA」ともいえるF1活動を終了したのには、別の理由も絡んでいたのではないかと考えられる。