激震!ホンダF1撤退の真相とレッドブルに与えた衝撃
そのひとつが、新型コロナウイルスの業績への影響だ。 八郷社長は「今回の参戦終了という決定は、収益というかコロナの影響ということではなくて、将来を見据えた技術者のリソースを再考した結果」だと語ったが、今年の8月5日に発表した2020年度第1四半期(2020年4月1日~6月30日)決算で、全ての拠点で生産や販売活動に影響を受けたことにより、減収減益となったと発表している。それでも、通期での営業利益を2000億円に設定しており、残る3四半期で、ホンダは全社横断のコストダウン努力や経費の効率化が不可欠となっている。 ホンダがF1にかけている予算は発表されていないが、約200億円前後だと言われている。つまり、目標としている営業利益の1割を占めており、コロナ禍の状況では決して小さなものではない。 また、経費の効率化が不可欠となっているホンダにとっては、モータースポーツの最高峰であるF1からの撤退は、社内や取引先に対して大幅なコストダウンを行ううえで重要なメッセージとなるというメリットもあったのではないか。 ホンダは2021年限りでF1活動を終了することで、新たな目標に向けてスタートを切るが、ホンダが去った後の2022年に向けて、まだスタートを切ることができない者たちもいる。それは、現在ホンダからパワーユニット(PU)を供給されているレッドブルとアルファタウリの2チームだ。 現在、F1に参戦しているパワーユニット(PU)・マニュファクチャラーはメルセデス、フェラーリ、ルノー、そしてホンダの4社。このうちメルセデスとフェラーリが3チームずつ、ルノーとホンダが2チームずつにPUを供給している。来年はメルセデスが4チームとなるため、物理的にメルセデスからの供給は難しい。そうなると来年は1チームだけとなるルノーからレッドブルとアルファタウリが供給を受けるのがバランス的には良さそうだが、それは簡単にことではない。なぜなら、レッドブルはホンダから供給を受ける前にルノーのPUを使用し、最終的にケンカ別れしていたからだ。