東京の感染拡大 目立つ「会食」感染経路に見られる変化
(2)#7119における発熱等相談件数
東京消防庁の救急相談センターへの発熱などの相談件数で「感染拡大の予兆の1つとしてみている」(大曲氏)。7日間平均の件数は95.6件と前週比で約1.5倍に急増した。大曲氏は「前回(第1波)の経験で、この数値が急増した後に患者数の増加をみたので、新規陽性者数の増加に注視する必要がある」と警戒した。
(3)新規陽性者における接触歴等不明者の数と増加比
接触歴の不明者数は、7日間平均で154.0人で、2週連続で緊急事態宣言下の最大値(116.9人/4月14日)を超えた。7月29日時点での接触歴不明者の増加比は118.9%で、前週の153.1%より減少したものの、100%を超える状態が続いている。 大曲氏は、このまま120%の値が4週間続いた場合、新規陽性者数は「接触歴不明」分だけで2.1倍、1日あたり約323人になり、さらに4週間続くと現在の4.3倍、1日あたり約662人になる計算だとした。
医療提供体制「宅配活用した自宅療養を検討すべき時期」
医療提供体制については、東京都医師会の猪口正孝副会長が説明。「入院患者数と重症患者数の増加が見られる」との総括コメントがついた。検査の陽性率以外の数値はすべて上昇したが、総合判断は据え置かれた。
(4)検査の陽性率(PCR・抗原)
陽性率は6.5%(検査人数3140.7人)で、前週(同3278.0人)から横ばい。今週は4連休を挟んだため、7日間平均の検査数が減少した影響もあるが、猪口氏は「陽性率が6%を超えていることを踏まえると、引き続き検査体制の強化が求められる」とした。
(5)救急医療の東京ルールの適用件数
「東京ルール」とは、救急隊による搬送先の選定に20分以上かかったケースのことで、前週の31.1件から45.3件に増加。22日以降は40~50件前後で推移しており、7日間平均の件数も前週比で約1.5倍になった。
(6)入院患者数
入院患者数は1106人で、前週の949人より増加した。 都内の医療機関は、7日の都からの要請に基づき、中等症向けに2700床(レベル2)、重症者向けに100床(レベル1)確保するための準備を進めている。 ただ、1日当たりの新規入院患者数が都内全域で100人を超えることがあるなど「医療機関への負担は深刻」で、猪口氏は「収束の兆しが見えない中、医療従事者の緊張が続いている」との表現で医療現場の疲弊を代弁した。 さらに「確保病床数イコール当日入院できる患者数ではないことをご理解ください」と訴える。猪口氏の説明によると、コロナ患者の入退院は、手続きや感染防御対策、検査、調整、消毒などの対応が不可欠で、通常の患者よりも多くの人手、労力と時間が必要になる。病院ごとに当日入院できる数には限りがあるほか、都内の病院は、陽性者以外にも、陽性者と同程度の感染防御と個室管理が求められるコロナ感染が疑われる患者も1日あたり100人~200人程度受け入れているためだという。 今回の感染拡大では、無症状の陽性者が多いことも影響を与えている。7月21日から27日日までの陽性者1766人のうち、無症状の人は約16%を占めるという。こうした無症状患者らは医療機関への入院ではなく、基本的に宿泊施設で療養することになるため、都では現在、宿泊療養施設を増やそうと努めているが、その運営に当たる医師は通常の医療機関から集めているため、人材確保に苦労しているという。猪口氏は「医療提供体制、宿泊療養施設の確保ともに、ITを活用した健康観察や食事・日用品の宅配などを活用した安全な自宅療養を総合的に検討すべき時期に来ている」と提案した。