Go To「判断伸ばしたら」政府に提案も採用されず 尾身氏が明かす
22日からスタートした政府の観光支援策「Go To トラベル」キャンペーンをめぐり新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長(地域医療機能推進機構理事長)は29日、「もう少し判断を伸ばしたらどうか」と政府に提案したが、受け入れられなかったことを明らかにした。 【国会中継】衆院国土交通委 GoToトラベル事業で質疑
感染状況に合わせ対策「機敏に変える」べき
発言は29日に開かれた衆院・国土交通委員会の閉会中審査でのもの。国民民主党の古川元久氏は「再び感染拡大が起きつつある中で、強引にGo To トラベルをスタートさせたのは大問題だ」と指摘し、今回のキャンペーンから東京が対象外となったことを踏まえ、感染者が増加している大阪や愛知などが対象外になる場合や、東京が対象に戻る場合の条件についてただした。 尾身氏は「Go To トラベルを含めた県を越えての人の動きには3つの原則がある」と述べ、具体的に(1)感染レベルが高いところから低いところ、低いところから高いところに行くのは控えた方がいい(2)感染が低いところ同士の移動はそれほど問題はない(3)感染報告数が多い、多くないにかかわらず、どの都道府県でも基本的な感染症対策(マスク・手洗い・3密回避)を徹底する――という3つを挙げた。 その上で「私どもの立ち場とすると、感染のレベル、状況の変化によって、対策を機敏に変えていく。場合によっては東京以外の例外を加えることもあり得るし、(東京の)復活もありうる」との見方を示した。 Go To トラベルの東京除外が諮問されたのは16日の分科会だったが、その数日前に、分科会としてはキャンペーンについて「もう少し時間をおいてやったらどうか」と政府に提案していたことを明かした。 「もう少ししっかり疫学調査を分析して、(キャンペーンを)するしないにかかわらず、根拠を持った説明ができる必要あるので、もう少し判断を伸ばしたらどうかと申し上げた」 しかしこの提案は政府には採用されなかったという。政府からは東京を対象から外す案に関して意見を求められたが、16日時点では▽東京から感染が地方に拡大した▽東京の感染状況は別格だった、という判断のもと、「コンセンサスとして合意した」と説明した。 議論の中でメンバーから「大阪などはどうなのか」との質問が出たが、「分科会には経済(専門)の人もいる。社会経済と感染症対策の両立を図るというのが我々の仕事で、そこが(6月に廃止された)専門家会議とは違う。大阪などを東京と同じように扱うということもあり得るが、社会経済への影響ということもみんな考えたと思う。東京例外については特に異論はなかった」とも付け加えた。