【図解】新型コロナ「第5波」の特徴は? 「第1波」からの流行を振り返る
●「第5波」と4回目の「緊急事態宣言」
宣言が解除された東京都では、6月21日から宣言に準じた重点措置に切り替えられました。飲食店に午後8時までの時短営業を要請し、酒類提供については一定の要件を満たした店のみ午後7時まで認められることになりました。 しかし東京の新規陽性者は500人前後の高止まり状態で、7月に入るとじわじわと増加に転じ、再び1000人に迫るようになりました。 政府は7月12日から東京都に4回目となる緊急事態宣言を出しました。コロナの影響で今夏に延期されていた東京五輪の開幕まで2週間を切っていました。宣言期間は沖縄県も含めて8月22日までで、五輪期間がまるまる緊急事態宣言下という「異例の開催」(菅義偉首相)となりました。 打ち出された対策は、3回目の宣言の後半の内容を踏襲したものでした。酒類やカラオケを提供する飲食店には再び休業要請がなされたほか、それ以外の飲食店や大型商業施設には午後8時までの時短営業が求められました。大規模イベントは引き続き、上限5000人かつ収容率50%以下での開催要請が維持されました。 しかし、東京の感染は収まるどころか急激に悪化していきました。7月28日には3177人と初の3000人台、さらに8月5日には5042人と初の5000人超えとなり、8月13日には5773人と過去最多を更新しました。全国でも8月13日に初めて2万人を超えると、8月20日には2万5871人と過去最多を更新。爆発的な感染となり、各地で過去最多が更新されています。これが現在も続く「第5波」です。
●「デルタ株」の猛威とワクチン接種
「第5波」がこれほど急激に拡大したのは、アルファ株以上に感染力が強いとされるインド由来の「デルタ株の猛威」の影響が指摘されます。専門家によると、デルタ株は従来より2倍、アルファ株より1.5倍程度、感染力が強いといいます。 東京都のモニタリング会議(8月20日)は「制御不能な状況が続いている。災害レベルで感染が猛威を振るう非常事態」と危機感をあらわにしました。 「第5波」のもう一つの特徴は、感染者の年齢構成です。4月以降、65歳以上の高齢者にワクチン接種が進んだ結果、新規陽性者に占める高齢者の比率は減少しています。その一方で、50代以下の中高年、若年層で感染が拡大しています。 都のモニタリング会議によると、6月中旬以降、50代以下が新規陽性者のうち9割以上を占めているといいます。「新規陽性者の年齢構成は、若年・中年層中心へと変化した。若年層を含めたあらゆる世代が感染によるリスクを有している」と分析。実際に10代以下の感染も報告されるようになってきています。 感染が広がるにつれて、重症者も増えていきました。東京の重症者は8月28日に297人と過去最多を記録。年代別では50代が最も多く、40代以上で重症患者全体の約9割を占めています。10代を含む30代以下でも新たな重症例が発生しています。全国でみても重症者は2223人(9月3日時点)と過去最多を更新し続けています。