「家庭内」「高齢者」“第2波”と異なるキーワード 都のコロナ感染急増
東京都は19日、新型コロナウイルスのモニタリング会議を開き、「感染状況」の警戒レベルを4段階のうちで最も高い「感染が拡大していると思われる」に引き上げ、「医療提供体制」については2番目に高い「体制強化が必要であると思われる」を維持した。小池百合子知事は同日夕に臨時会見を開き、「9月以来、2か月ぶりの赤(最高の警戒レベル)が灯った。これから忘年会、クリスマスシーズンを迎える。都民、行政が一体となって、気を緩めないで感染防止対策を徹底してほしい」と呼びかけた。 【動画】小池都知事「5つの小」を提唱 会食時のコロナ感染予防策
●変化がないように見える重症者数だが
都の感染状況の警戒レベルが再び「最高」に引き上げられた19日。新規陽性者は1日の報告数としては初めて500人を超え、534人と過去最多を更新した。午後5時15分からセットされた小池知事の臨時会見は、都としてどのようなコロナ対策を打ち出すのか、注目を集めた。過去の流行時のような飲食店などへの営業時間の短縮要請が出されることがあるのか。ただこの日、小池知事が都民に向けて発した呼びかけは「小人数」「小声」「小皿」など「5つの小」と銘打った会食時の感染防止対策の徹底だった。 質疑で記者から、時短要請を今後求める場合の要件を問われた小池知事は「感染者数は増えているが、重症者数は増えていない」と指摘。今後、検査数の増加に伴い新規陽性者数も増えるだろうとした上で「一番重要なのは重症者の数」だとあらためて強調した。 「きょうは(新規陽性者数が)500人を超えたが、これからどういう流れになるか。皆さまのご協力次第ではあるが、とにかく重症者を出さないのが一番大きな守るべきレッドラインではないかと思っている。それをベースにしながら(今後の対策を)判断していくことになる」
都内の新型コロナ感染者における重症者数は、今週が39人。前週が38人で前々週は35人と大きな変化はないように見える。ただ、会見に同席した東京都医師会の猪口正孝副会長はこう訴える。「あまり増えてないように感じるが、(重症者数は)しばらく増減しながら推移している」 猪口氏によると、重症者のうち今週新たに23人が人工呼吸器を装着し、離脱した人は11人。そして使用中に4人が亡くなったという。 「前週と比較すると動いてないように見えるが、人工呼吸器を装着したり離脱したり、39という数字だけでは分からない部分がある」 今週の死者数としては10人で、前々週の9人、前週の3人よりも増えた。 この日公表された都のモニタリング会議の専門家コメントでは、今週の新規陽性者数の増加比は約133%で、これが今後4週間続いた場合、新規陽性者は約3.1倍、つまり1日あたり約1020人程度になる計算だといい、「重症患者数の増加が続けば、予定手術や救急の受け入れ制限などをせざるを得なくなり、通常医療の維持と新型コロナ重症者の病床確保との両立が困難になる」と医療提供体制に与える影響を懸念している。