「8割削減」「日本モデル」…第1波の「緊急事態宣言」解除までを振り返る
新型コロナウイルスの第3波の流行拡大を受け、菅義偉(よしひで)首相は1月7日、コロナ対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を発出しました。東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の首都圏1都3県が対象で、期間は2月7日までの1か月間です。「1か月後には必ず事態を改善させる」と菅首相は会見で意欲を語りましたが、宣言発出以降、大阪府や愛知県を中心とする自治体から宣言派出を政府に要請する動きが相次いでいます。 【年表】“コロナ禍の1年”を振り返る 政府による緊急事態宣言は昨年春の第1波でも出されていますが、その時も宣言の対象は広がり、また期間も延長されました。前回はどう発出され、どう解除されたのか。当時の安倍晋三首相の会見での発言とともに、主な動きを振り返ります。
「7都府県→全国」に対象区域を拡大
昨年の日本国内での新型コロナ感染者数は、3月終盤から急増しました。 4月1日に開かれた当時の専門家会議では、感染状況について「オーバーシュートは起きていないが、医療供給体制がひっ迫しつつある」と医療崩壊への懸念を示されました。東京都では4月4日に1日の新規感染者が100人を超えると、4月中旬まで100~200人で推移。全国では4月11日に720人を記録し、第1波でのピークとなりました。
安倍首相は4月7日、東京都や大阪府、福岡県など7都府県を対象に5月6日までの期間で「緊急事態宣言」を発出しました。それに合わせて開いた会見で、「緊急事態宣言」を1か月で脱するために、人と人との接触を「最低7割、極力8割」減らす目標を掲げ、国民に外出自粛などの徹底を呼びかけました。 「東京都では感染者の累計が1000人を超えた。足元では5日で2倍になるペースで感染者が増加を続けており、このペースで感染拡大が続けば2週間後には1万人、1か月後には8万人を超えることになる」 「しかし専門家の試算では、人と人との接触機会を『最低7割、極力8割』削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる。そうすれば、爆発的な感染者の増加を回避できるだけでなく、クラスター(感染者集団)対策による封じ込めの可能性も出てくる」 7都府県への宣言発出後、感染者の増加で県独自の“緊急事態宣言”を出した愛知県や、すでに宣言が出ていた大阪府に隣接する京都府などから政府の緊急事態宣言の対象区域に追加を求める動きが出ました。 こうした動きや、都市部から地方への人の移動によるクラスター(感染者集団)発生が各地で見られたことなどを踏まえ、16日には「緊急事態宣言」の対象が全国に拡大されました。安倍首相は翌17日の会見で、ゴールデンウイークの旅行や帰省の自粛を国民に求めました。 「全国各地でクラスターと呼ばれる集団感染が確認されるようになっている。これについては、3月の3連休における緩み、都市部から地方への人の移動が全国に感染を拡大させた可能性があるというのが専門家の分析だ」 「大型連休に先立ち、それぞれの地域で観光施設への休業要請も必要となるだろう。人の流れを、人の流入を防ぐため、各地域が緊急事態措置を講じることができるよう、緊急事態宣言の対象を全国に拡大することとした」 さらに従来の7都府県に、北海道や愛知県など6道府県を加えた計13都道府県については「特定警戒都道府県」として感染防止対策を重点的に行うことにしました。