【図解】新型コロナ「第5波」の特徴は? 「第1波」からの流行を振り返る
●「第4波」と「まん延防止等重点措置」初適用
しかし、大阪府や兵庫県では3月下旬から感染者が急激に増え始めました。「第4波」です。4月3日には大阪府で新規の報告者数が666人に上り、過去最多となりました。 政府はここで新しいコロナ対策を打ち出します。「まん延防止等重点措置」です。2月に改正された特措法に、緊急事態宣言の罰則規定とともに設けられた措置で、宣言に至らないよう集中的な対策を予防的に取ることができます。4月5日から大阪、兵庫、宮城の3府県に初めて適用。12日からは東京、京都、沖縄の3都府県が、20日からは千葉、埼玉、神奈川の首都圏3県と愛知県が追加されました。 それでも感染拡大に歯止めはかかりませんでした。大阪では4月13日に1099人の新規陽性者が出て初めて1000人を超えると、その後も1000人を超す日が続きました。 この頃の大阪府は、予定していた手術に優先順位をつけるなど「一般診療に影響が出るレベル」の医療危機に陥っていました。コロナ対策分科会の尾身茂会長は4月15日の会見で、東京も大阪のような状況に「早晩なる可能性はある」と危機感を示しました。
●3回目の「緊急事態宣言」と「アルファ株」
第4波が関西で急激に広がった大きな要因は「変異ウイルス」です。この頃の感染の主体は、英国で見つかった変異ウイルス(アルファ株)で、従来型ウイルスよりも感染力が強いとされました。関西では、従来株からこのアルファ株への置き換わりが急速に進行したのです。 第4波では、大阪の感染者数が東京を上回っていたことも特徴です。大阪府では4月28日と5月1日に1260人を記録し、過去最多を更新しました。 政府は4月25日から、3回目となる緊急事態宣言を東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に発出しました。 ゴールデンウイークを見据えたこの宣言は、飲食店での酒類提供を禁じるなど前回よりも強い措置が盛り込まれました。飲食店には午後8時までの時短営業を求めたほか、酒類やカラオケを提供する飲食店には休業を要請しました。さらに大型商業施設にも休業を要請し、大規模イベントは原則無観客で行うことを主催者に求めました。 当初は連休明けの5月11日までの17日間という短期間で設定された緊急事態宣言でしたが、5月8日と12日に7000人超の感染者が確認されるなど、感染状況は引き続き高い水準にありました。 そのため、5月31日まで期間が延長されるとともに、対象地域も愛知と福岡の2県が追加されました。このタイミングで感染防止対策が一部緩和され、大規模イベントは無観客から人数制限(上限5000人かつ収容率50%以下)での開催要請に、大型商業施設も休業要請から午後8時までの時短営業の要請に切り替えられました。ただ、知事判断で引き続き休業要請の継続も可能としました。 3回目の緊急事態宣言は結局、計10都道府県まで拡大して期間も延長され、6月20日に沖縄県を除いて解除されました。