激白…なぜソフトバンクの”熱男”松田宣浩は3億円の減俸を受け入れたのか…知られざる苦悩と38歳の覚悟
「スタメンを外されることを悔しいと思わなくなれば辞めるとき」と語ってきた松田が、「個人の不甲斐なさを日本一が消してくれた。優勝メンバーの一員になれただけでOK。若い頃だと何くそ、むかつく、納得がいかないと違う気持ちになっただろう。でも、そんなことを考えているとダメだという年代になった。自分だけよければという立場ではない」と、変心していたのである。だが、それはあまりに優等生すぎた。松田の野性味を奪ってしまっていたのだ。 納得のいかないシーズンが2年続き、今松田は「プロ野球選手なんで勝負の世界に生きている。アマとは違う。その気持ちがダメだったかなと思う」と反省していた。 「来年は、個人プレーでやってやろうかなと考えている。今一度、でかい花を咲かせたい。もう少し自分のことだけに集中してもいい。チームのことを考えることが、自分にプラスだと言っていたが、自分のことを考えることがチームの結果にもつながる。最後の悪あがきをしたい」 松田が、エゴイズムを取り戻したいと考えた背景には、8年ぶりにBクラスに転落したチーム成績がある。優勝、日本一を手にしていれば、まだしも、自らの不振と共にチーム成績が下がったのだから救いはなかった。 松田は、敗因を「緩みだ」と言う。 「4連覇、5連覇を目指していたが、CSにも出れずBクラスに終わったことはショックだし、情けなかった。ホークスが強いときは、投手、野手を問わず、それぞれが、持ち場で仕事をして個がチームという束になって勝てていた。競争心があり、あの人が打ったからオレも打ちたい、自分がダメでも、他の人が打って勝ったから、その間に自分も修正してよくなろう、というような個々の努力が結集していた。だが、今年は、みんなの仲が良くなりすぎていて、僕も含め個人、個人が失敗したときに慰め合うようになっていた。みんなでひとつの方向を向くことは悪いことではないが、個の反発力が萎えていたと思う。個のあきらめない力と責任が強ければ、巻き返せたと思う。そこに欠けていた」 だからこそ松田は、もう一度、個の戦いに回帰することを決意したのだ。 「来年からの1、2年はホークスの今後を左右する重要なシーズンになる。来年優勝しなければ、負けることに慣れてしまう。負けグセが怖い。個々が、もう一度、野性味を持たねばならないし、僕もその一人でありたい」 ”熱男”は、そう前を向いた。