なぜFC東京に帰ってきた長友佑都は背番号「50」を選んだのか
所属クラブなしの状態が続いていた日本代表DF長友佑都が、プロの第一歩を踏み出した古巣のFC東京へ、完全移籍で加入することが12日に正式発表された。 背番号はチーム内で最も大きい「50」で、契約期間は2022シーズン終了までの1年半とみられる。明治大学在学中の2008年2月にFC東京入りした長友は、2010年7月にチェゼーナ(イタリア)へ移籍。セリエAの名門インテル、ガラタサライ(トルコ)、オリンピック・マルセイユ(フランス)を経て実に11年ぶりにJリーグへ復帰する。 35歳の誕生日に再び青赤のユニフォームに袖を通した長友は、クラブ公式YouTubeチャンネルでライブ配信された入団会見を皮切りに、オンラインによるメディア対応、ホームの味の素スタジアムに柏レイソルを迎えた明治安田生命J1リーグ第28節後の入団セレモニーに臨むなど、エネルギッシュな再スタートを切った。
「心が震え、野心と情熱が湧き上がる」
新型コロナウイルス禍が考慮されて、練習拠点の小平グラウンド上で行われた異例の青空入団会見。FC東京の大金直樹社長から手渡された、愛着深い青赤のユニフォームを身にまとった長友は、こみあげてくる万感の思いを必死に言葉へ変換させた。 「心から愛するこのクラブに帰って来られて感動しています。心が震えるとはこういうことなのかと。同時に11年前の思いも蘇ってくる。若いときも野心がありましたけど、いまの方がさらに野心というか、あふれんばかりの情熱が湧き上がってきています」 チェゼーナへ旅立つ前までの長友と異なる点が背番号となる。日本代表でもトレードマークとしてきた「5」を、たっての希望で「50」にした。ブラジル出身のDFブルーノ・ウヴィニが、すでに「5」を背負っていた事情だけが理由ではなかった。 「僕の愛する『5』に『0』は原点に戻るという意味で。原点回帰ですね」 何をもって原点と位置づけるのか。長友は再び「野心」の二文字と、涙をこらえながら11年前に口にした、世界一のサイドバックになる誓いに言及した。 「当時は野心にあふれていて、絶対に成り上がってやると思っていた。そのときの強い気持ちに戻るということ。まだ世界一のサイドバックになっていないし、有言実行でも何でもない。ここでいいパフォーマンスを出して、代表でも来年のワールドカップで最高の活躍をすれば、まだまだ目標に届くと思っているので」 代表チームの世界一を決める4年に一度の大舞台を、常に最上位に位置づけてきた。出場すれば日本人のフィールドプレーヤーでは初めてとなる、4大会連続のワールドカップとなる来秋のカタール大会へ。思いを問われる度に長友は言葉に窮してきた。 「本当に語彙力がなくて、自分の思いを表す言葉が見つからない。そのくらいワールドカップへの思いは特別で、本当に人生を懸けていきたいと思っているので」