セレッソ復帰の乾貴士が大久保嘉人との“レジェンド・ホットライン”…古巣に帰り伝えたかったメッセージとは?
10年以上もの歳月を超えて帰ってきたJ1リーグ戦のピッチで、レジェンドによるホットラインを鮮やかに開通させた。 古巣セレッソ大阪に復帰した元日本代表MF乾貴士(33)が、敵地で8日に行われた北海道コンサドーレ札幌との明治安田生命J1リーグ第19節の後半から出場。2-0で迎えた試合終了間際に、FW大久保嘉人(39)のダメ押しゴールをアシストした。 先発フル出場して1ゴールをあげた2011年7月31日の鹿島アントラーズ戦以来、実に3692日ぶりに愛着深いセレッソの一員としてリーグ戦で躍動した乾は、特別な思いを込めて選んだ「23番」を自分の色に染めながら、ドイツとスペインでプレーした10シーズンで得た濃密な経験をセレッソ、そしてJリーグへ還元していく。
相手のミスを見逃さず好アシスト
ドイツで4シーズン、スペインで6シーズンにわたってプレーしてきた身長169cm体重63kgの小柄なアタッカーは、ゴール前で相手が犯したミスを見逃さなかった。 2点をリードして迎えた後半43分だった。スローインから左タッチライン際を縦へ抜け出したMF西川潤が送ったグラウンダーのクロスに、札幌のDF高嶺朋樹が必死に反応する。しかし、体勢を崩していたためクリアが中途半端に小さくなった。 ボールはペナルティーエリア内の左側へ入ってきた、乾の真正面に飛んでくる。落ち着いたトラップからまず札幌ゴールへ向かい、すかさず左足の裏を駆使した絶妙の切り返しを披露。慌ててマークについたDF田中駿汰をかわした次の瞬間だった。 右足のアウトサイドを使った優しいパスを後方へ送る。ターゲットはやや遅れてエリア内へ侵入してきた大久保。MF金子拓郎の足元を狙った捨て身のスライディングタックルを軽やかにかわした国内屈指の点取り屋は、札幌のキーパー菅野孝憲が一歩も動けない一撃をゴール右隅へ正確無比に突き刺した。 3月13日の横浜FC戦を最後に遠ざかっていた今シーズン6点目。歴代1位を独走するJ1最多得点記録を「191」に伸ばした大久保を祝福するチームメイトの輪のなかへ、8月31日に加入したばかりの乾も笑顔を弾けさせながら加わっていった。 「いつかはこのチームで、Jリーグへもう一度帰ってくるのならばセレッソ大阪でプレーしたい、という思いがずっとあった。ただただこのチームが大好きで、オファーをもらったいまが復帰するタイミングなのかな、と」 オンライン形式で2日に行われた移籍加入会見で、乾はセレッソへの復帰を決めた理由をこう説明した。全国高校選手権を制した野洲(滋賀)から2007年に横浜F・マリノスへ加入した乾にとって、セレッソは2つ目の所属チームとなる。