なぜ森保ジャパンは「絶対に負けられない中国戦」で5バックの守備的相手に1-0勝利できたのか…追加点奪えない課題も
満足できる試合内容や結果にはほど遠かった。それでも決めるべきエースが決めた先制点を守り抜いた森保ジャパンが、2戦目にしてアジア最終予選初白星をあげた。 カタールの首都ドーハのハリーファ国際スタジアムで、日本時間8日未明に行われた中国代表との第2戦。ともに初戦を落としたチーム同士の激突は、前半40分にFW大迫勇也(31・ヴィッセル神戸)が決めたゴールを守った日本代表が1-0で辛勝した。 日本が所属するグループBは、ライバルとなるオーストラリア、サウジアラビア両代表がともに連勝発進。日本は10月7日にサウジアラビアとアウェイで、同12日にはオーストラリアと埼玉スタジアムで対戦する次回シリーズで、上位2ヵ国が来秋のカタールワールドカップ出場権を自動的に獲得する戦いで最初の正念場を迎える。
後半に古橋、長友が故障退場するアクシデント
日本の森保一監督は動こうにも動けなかった。4分が表示された後半アディショナルタイム。リードはわずか1点。最前線の大迫をはじめ、疲弊している選手たちが目立つ。しかし、交代枠を「2」も残したなかで時間を稼ぐ選手交代を告げられなかった。 新型コロナウイルス禍が考慮され、2次予選から引き続いて交代枠は「3」から「5」に拡大されているアジア最終予選。ただ、選手交代を告げられる回数そのものはハーフタイムを除いて3回に制限されている状況下で、不測の事態が発生していた。 前半と同じ11人で後半に臨んだ日本は5分にFW古橋亨梧(26・セルティック)が、43分にはDF長友佑都(34・無所属)が相次いで故障。MF原口元気(30・ウニオン・ベルリン)、DF佐々木翔(31・サンフレッチェ広島)との交代を余儀なくされた。 その間の31分には警告を受けていたMF伊東純也(28・ヘンク)に代えて、MF鎌田大地(25・フランクフルト)を投入している。ベンチには追加招集されたFWオナイウ阿道(25・トゥールーズ)、カタールで合流したボランチ守田英正(26・サンタ・クララ)らが控えていたが、守備固めだけでなく時間稼ぎもかなわない状況だった。 それでも中国に反撃の糸口すら作らせないまま、勝利を告げる主審の笛が鳴り響いた。ホテルに戻った後にオンラインで対応した、キャプテンのDF吉田麻也(33・サンプドリア)の第一声に手にしたばかりの勝ち点3の価値が凝縮されていた。 「もちろん満足できる結果ではなかったけど、勝ち点3を取って何とか次につなげることができた。内容に関しても手放しで喜べるものではなかったかもしれないけど、これがアジア最終予選だと思っているし、とにもかくにも勝ち点3を取れたことが一番大きい」 ホームの市立吹田サッカースタジアムで、スコアこそ0-1ながら、それまで無敗だったオマーン代表に試合内容でも上回られる完敗を喫してから5日。同じく初戦を落としている中国は、それまでのデータにはない布陣で臨んできた。 李鉄監督に率いられる中国は、これまで[4-4-2]で戦ってきた。ただ、試合前に公表された先発メンバーを見た日本のスタッフが「3バックで来る」と察知し、少ない時間のなかで可能な限りの情報を収集。選手たちに与えた指示を森保監督が明かす。 「これまで準備してきたベースとともに、相手が我々に合わせてきた戦術へ臨機応変に対応していこう、と。選手たちは非常に柔軟に戦ってくれたと思っています」