日銀・黒田総裁会見9月22日(全文2)2%の物価安定目標は達成できる
みずほ銀行のシステム障害をどう見ているのか
時事通信:時事通信の【イトウ 00:49:10】です。2問あります。景気認識の現状、および先行きについてがまずもう少しお伺いしたいんですけれども。7月の会合以降、特に8月9月とわれわれも取材している中で、緊急事態宣言の延長であるとかによって期待されていたようなペントアップ需要というのがなかなか起こらないというお話であったり、あるいは半導体の供給制約および東南アジアでの変異株等の拡大で生産面での影響も出ているという形で、少し期待していたような、7月の展望レポートのときには期待していたような回復っていうのが、あとずれしていくのではないかというような見方を日銀の中での取材の中でも伺ったのですが。今回、今日出てきた声明の中で、一部、文言の修正であるとか追加ということはありますけれども、おおむね、勝手にこちらが思ってたほど悲観的な内容ではないといいますか、いうような印象を持ったんですけれども。これ、総裁の見解をお伺いしたいということが1つとですね。 あともう1つは、みずほ、ちょっと個別行になってしまうんですけれども、みずほ銀行のシステム障害、相次いでおりまして、先ほど金融庁のほうでも業務改善命令の行政処分について発表があったかと思うんですけれども、やっぱり利用者から取ってみると、銀行のシステムというのは、基本的に安定して稼働してるということが望ましいし、それは、そういったものを期待して利用されてると思うんですけれども、こういう銀行の大きなシステム障害、それから頻発するというところで、それが預金者の銀行というシステムに対する信頼感を損なったり、それはひいては金融システムというものに対して、考え方みたいなものに影響があるのかないのか、そこら辺どういうふうに今回の問題を見られてるのか、お伺いできればと。
ポジティブな面が加わってきている
黒田:前段の景気に対する見方ですけれども、ご指摘のとおりデルタ株の流行が広がったせいか、緊急事態宣言も延長されてこういうことになってる、他方、いわゆる半導体不足に加えて東南アジアの一部でコロナの感染症が拡大して一時的な工場閉鎖とかなんかもあって部品の供給が滞ったりしたというようなことがあったことは事実なんですね。 特にコロナ感染症が夏にかけてかなり拡大して、人々の外出とか外食にかなり影響が出て、対面型サービスを中心に消費が低迷したということはある意味で予想外だったと思うんですけども、他方でワクチンの接種が非常に早く進んで、先ほど申し上げたように今や欧米の水準に匹敵するようなところまできてると、さらには10、11月には希望する国民全てがワクチン接種を完了するというような状況になるということも踏まえますと、7、8月、コロナ感染症が非常に急拡大して消費に大きな影響が出たことは事実なんですけども、今の状況を見るとその大きな影響が出たのをそのまま延長する必要もなく、むしろかなりポジティブな面が加わってきてるということも考える必要があるだろうと。 それから半導体の不足のほうは、実際はそれほどそれが長引いてるっていうことはないんですが、それに加えて東南アジアの感染拡大で工場閉鎖とかなんかで部品の供給が止まった部分があるとか、それから世界的に見ても実は中国とか米国とか欧州とかは経済の成長が急速になって、そういうものに対して、自動車を含めて、IT関係とかなんかも需要がもう急拡大してるわけですね、それになかなか追い付いてないという面があることは事実なんですけども。この水準を下げるっていう意味で問題だったのは、半導体の一定の企業が火事に遭ったりして、そういうものはもう戻ってるわけですし、それから東南アジアの一部の国の工場閉鎖っていうのもだいぶ戻ってきていますので、部品の供給が滞ってるというのも、このまま何カ月も続いていくっていうことではないだろうと。そういう意味では一時的。ただ、いつまで続くかはまだちょっとはっきりしないわけですね、東南アジアにおけるコロナ感染症がどういうふうに収束されていくかがまだ分かりませんので。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見9月22日 全文3へ続く